2013 Fiscal Year Research-status Report
「生半可な教育を受けた現地人」の誕生と英領ベンガルの言語・教育・官吏登用政策
Project/Area Number |
25770271
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
水谷 智 同志社大学, グローバル地域文化学部, 准教授 (90411074)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | イギリス帝国 / 植民地主義 / インド / 「英語教育」 / 東インド会社 / 官僚制度 |
Research Abstract |
本研究の枠組を構築するため、先行研究の整理を行った。いわゆる「ボッドロロク」(英語で高等教育を受けたベンガル人)に関する、Suresh Chandra Ghosh、Tithi Bhattacharya、Sumit Sarkar、Gauri Vishwanathanらによる近年の研究を精読し、研究の理論・方法について考察した。 同時に、一昨年度までにすでに収集していた一次資料を昨年度にインターネットで収集したものと合わせて分析し、歴史実証研究をすすめた。まず、インドにおけるイギリス帝国の言語・教育・官吏登用政策の歴史について、特に、「英語教育」の起源を、行政言語を従来のペルシャ語から英語へと変更する言語政策と現地人の労働力調達を目的とする官吏登用政策との関係において検証した。その結果、これらの一連の政策の主体として最も重要なものとして、イギリス東インド会社(EIC)の取締役会・株主総会および総督に率いられるベンガル植民地政府が浮上した。「英語教育」の立案・実施過程で、ロンドンのEIC本部とベンガル政府との間にどのようなやりとりがあったのか、EICの議事録や往復書簡の分析をした結果、「英語教育」・英語の行政言語化・現地人登用政策の三つの政策が、EICの財政危機および植民地行政のコストの問題と密接な関係にあることが分かってきた。 さらに、1830年代以降の「英語教育」と官吏登用システムの関係について調べた。特に、この文脈で決定的に重要であったカルカッタ大学設立(1857年)の歴史的経緯について、関連史料の詳細な分析を通して明らかにすることを試みた。その結果、行政コスト削減のために、本国(イギリス)ではなく現地(インド)において官僚の大半を調達することがイギリス帝国に求められていた当時の現状が浮かび上がってきた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インターネットを使った関連資料の収集が予想以上に進み、研究が進展した。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度実施できなかったイギリスへの出張を行い、さらに関連一次資料を収集し分析を進める。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度は海外での資料調査を実施できなかった。 今年度は海外での資料調査を実施し、それに充当する。
|