2014 Fiscal Year Research-status Report
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25770272
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
野口 久美子 同志社大学, アメリカ研究所, 助教 (00609571)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アメリカ先住民史 / カジノ産業 / 部族自治 / アメリカ史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、アメリカ先住民部族のカジノ産業をめぐる先住民部族の経済発展と部族自治の関連性を考察するものである。今年度は、先住民カジノ産業に関する事例研究として、カリフォルニア州トュールリヴァー部族の運営するカジノ産業の設立背景、運営内容、現状について調査を行った。具体的には、同部族が経営する「イーグル・マウンテン・カジノ」についての以下2点の調査を行った。1)1996年に設立された「イーグル・マウンテン・カジノ」の設立課程とそのための部族内議論を検討するため、一次文献(カジノ法に関する州議会公聴会記録、部族議会議事録等)の収集と聞き取り調査。聞き取り調査については、平成26年度の8月に現地調査を行い、同部族のカジノ産業設立過程について、設立当時の部族議会議員や現部族議会議員、トュールリヴァ―保留地の成員にインタビューを行った。また2)カジノ収益金の用途について、部族福祉、教育、文化継承、土地購入政策ごとに分析し、カジノ産業が部族社会に与えた影響について一次資料(部族議会資料)、部族成員、周辺自治体職員に対する聞き込み調査を行なった。特に、カジノ収益金による土地購入状況と用途、さらには文化継承の手段としての部族博物館構想にまつわる部族事業について、詳細な聞き取り調査を行うことが出来た。これまでの調査結果は、国立民族学博物館における共同研究や研究報告において他の研究者と共有した。また同報告で得た様々な意見をも反映した調査結果は、今年度に刊行される図書と学術論文に反映する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
所属機関の変更があり、所属大学における引継ぎ作業や、着任大学での着任準備のため、研究に予定外の遅れが生じた。特に、平成27年2月から3月にかけて1か月程度予定していた現地調査を実行することが出来なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の研究の遅れを取り戻すため、今年度の8月に予定していた現地調査を、来年2月にも行い、史料収集と聞き取り調査の機会を設ける。また、今年度が本研究の最終年度になるため、研究の総括として図書出版(6月末日刊行予定)と研究論文1本(『史苑』)、研究報告1件(同志社アメリカ研究所部門研究報告)、トュールリヴァー部族議会での研究報告(8月予定)など、研究成果の積極的な公開、報告を行う。
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Causes of Carryover |
当該年度末に、所属機関の移動が決定し、引き継ぎ業務、着任準備等によって、当初予定していたカリフォルニア州における現地調査が実行できなかったことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初、8月に2週間程度予定していた現地調査に加え、来春2月に3週間程度の現地調査を行い、当該年度に予定していた保留地成員へのインタビュー調査をする。
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