2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25770272
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
野口 久美子 明治学院大学, 国際学部, 講師 (00609571)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アメリカ先住民 / カジノ産業 / 部族自治 / カリフォルニア州 / アメリカ史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は三カ年にわたる本研究の最終年度である。そのため調査結果の包括,調査結果の報告,そして,開示の三つに重点を置いた。 本年度の前半は,過去2年間で収集した口答調査結果や統計結果の整理と図式化,既存の収集データの確認作業と,結果報告のための執筆作業に充てた。その結果,8月に3年間の調査結果を部分的に刊行した拙著『見えざる民から連邦承認部族へーカリフォルニ先住民の歴史』(彩流社)を刊行した。本成果の刊行には,アメリカ研究振興会からの出版助成を得た。日本語で刊行した本書を献本することで,先住民カジノ産業の実態に関して,特に高等教育関係者に広く報告できたことに加え,出版によって国内外の一般読者へも開示した。 さらに,9月には,調査協力者,機関への調査報告を主たる目的として,カリフォルニア州トュールリヴァ―保留地とポータービル市,カリフォルニア大学デイヴィス校を訪れた。その際,拙著を献本し,本研究の学術的意義について口答で説明を行った。特に,日本語で書かれた本書の入手が困難であるトュールリヴァ―保留地,さらに部族議会の人々に対して,本研究結果を開示できたことによって,調査対象となるコミュニティーへの貢献ができたと考える。 また,現地調査では二つのカジノ施設にて,運営システムに関する聞き取り調査を行った。カジノ産業が部族社会や近隣社会にもたらす影響について,近年関心が集まる一方,これまで,同産業運営の実態に関する調査は「部外者」には困難であった。複数年にわたる現地での調査と調査対象者との信頼関係の構築によって,本研究者が今回の調査に踏み込めた意義は大きいと考える。 最後に,3月には,先住民カジノ産業の基盤となる部族制度を確立させたインディアン再組織法の歴史的意義について整理し,「インディアン再組織法再考―部族主義の起源として―」『史苑』76巻1号(2016年3月)として刊行した。
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