2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25770273
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
佐藤 公美 甲南大学, 文学部, 准教授 (80644278)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アルプス史 / ティロル南部 / 山間都市 / 間地域性(インターローカリティ) / アルプス文書 / 公証人 / 裁判帳簿 / 国際研究者交流 イタリア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はアルプス山間都市が周辺環境との関りの中で生み出す政治的ネットワークと法・政治文化の交流・交錯を明らかにすることを目指し、中世ティロル南部を対象に地域社会の政治行為と文書文化を検討した。平成25・26年度には国際学会「中世後期から近世におけるアルプスの共同体と紛争」での報告と報告集寄稿論文において、ローカル社会を超えた共通の政治空間を貴族・市民・裁判区民の協働による地域を超えた利害関心の共有と紛争解決から生まれる政治的実践空間として明らかにした。平成27年度には貴族同盟「鷹同盟」における貴族の紛争解決行為と裁判区民の関わりを検討した論文を『甲南大學紀要 文学編』に発表した。 研究の進展とともに、地域を超える政治的実践空間の形成という問題を、広域的政治空間と関係しつつ地域をつなぐ政治主体の行為から理論的にも考察することが課題として浮上した。これを受けミラノ・ビコッカ大学のマッシモ・デッラ・ミゼリコルディア氏を招聘し、2015年12月20日甲南大学でシンポジウム「アルプスからのインターローカル・ヒストリー――<地域>から<間地域>へ――」を行い、開かれ変容する地域的主体間の関係性と公権力の定める枠組みに対するオルタナティヴ性を示唆するものとして「間地域性(インターローカリティ)」という概念を提示した。この理論的考察に関連して、2015年6月6日第17回洛北史学会で口頭報告を行い学術論文を執筆した。アルプス南北で交錯する文書文化に関しては、メラーノ市立文書館所蔵の未刊行史料を主に検討し、ティロル南部の公証人文書と裁判帳簿の14・15世紀における関係の変化と再定義の詳細を明らかにした。この成果は2015年5月17日の第65回日本西洋史学会大会での学会報告として発表した。また公証人についての考察を2016年1月21日のイタリア・スイス大学における学会報告として発表した。
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Research Products
(6 results)