2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25770291
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Research Institution | Kyushu Historical Museum |
Principal Investigator |
岡寺 良 九州歴史資料館, その他部局等, 研究員 (70543693)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 遺跡踏査・調査 / GPS計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、脊振山系の稜線上の踏査を本格的に実施した。権現山・九千部山・石谷山~坂本峠~蛤岳~脊振山~金山~三瀬峠~雷山・女岳~浮岳~十坊山について、山岳信仰遺跡研究者の山本義孝氏と共に踏査を行い、それぞれの頂部において、磐座や護摩壇、華立(遥拝所)とみられる岩を数多く新たに確認することができた。権現山山頂の磐座については測量調査も行った。 また、稜線周辺の主要地点として、契山・大興善寺(基山町)・万歳寺(鳥栖市)・乙子神社・別所毘沙門堂(那珂川町)・坊主ヶ瀧・花乱ノ瀧・池田大教坊・西油山天福寺(福岡市)・白糸の瀧・小蔵寺・二丈岳(糸島市)の現地踏査・確認を行い、脊振山系を取り巻く行場・霊場の様子を知ることができた。これらについても、山本義孝氏や、山寺研究者の藤岡英礼氏と現地調査を行い、有益なアドバイスを得た。 さらに脊振山関連の霊場として、大分県国東半島の山岳霊場(長安寺・天念寺・両子寺)と大分県中津市雁股山についても現地調査を行い、脊振山との比較対照作業を行った。雁股山については、霊山としての性格に加え、中世山城でもあるため、山城としての側面からではあるが、調査成果を公表した。 そして、研究に関連する学会として、九州山岳霊場遺跡研究会にも参加して最新の研究状況を知ると共に、研究者と意見交換を行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究における最大の課題であった脊振山系稜線上の踏査については、全行程約80kmのうち8割以上の行程を終えることができたため、計画以上に進展しているといえるが、調査を進める中で、想定していなかった関連地点が増えたため、割合としてはほぼ計画通りに進んでいるといえる。 関連遺跡との比較対照作業、採集遺物の実測等のデータ作成については、ほぼ計画通り進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
脊振山系稜線上の踏査のうち、残された権現山~九千部山~石谷山の稜線上、雷山~羽金山~女岳の稜線上の踏査を遂行することで本研究の主要部分は終えることができる。また、稜線周辺の二丈岳(糸島市)、御手洗瀧(鳥栖市)、九千部山祈祷所(吉野ヶ里町)、稚児落し渕(那珂川町)の現地踏査を行い、関連資料調査として、修学院所蔵資料、脊振山経塚出土品、九州大学附属図書館所蔵の脊振山堺図、国立公文書館所蔵の訂正筑前国郡図を調査する予定である。 これらの調査に際しては、山岳信仰遺跡研究者の山本義孝氏(袋井市歴史博物館)、民俗学研究者の吉田扶希子氏(西南学院大学)、中牟田寛也氏(伊都国歴史博物館)らの協力・指導を仰ぐ。 そして、脊振山との比較対照作業として、大隅霧島、肥前天山、肥前黒髪山の実地踏査を行い、関連学会への参加として、日本山岳修験学会における学会発表を行う予定である。 それらの調査成果として、調査報告書の作成、さらには伊都国歴史博物館における展覧会「国境の山岳信仰-脊振山系の聖地・霊場を巡る-(仮)」を伊都国博物館と共同で開催する。
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Causes of Carryover |
当初購入を予定していた書籍等の物品の金額が、想定よりも安価であったため、残が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度繰越分については、書籍等の必要物品の購入に当てる予定である。
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Research Products
(1 results)