2013 Fiscal Year Research-status Report
条件不利地域における社会関係からみた農地利用の維持システムに関する研究
Project/Area Number |
25770295
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
吉田 国光 金沢大学, 人間科学系, 准教授 (70599703)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 農地利用 / 社会ネットワーク / 中山間地 |
Research Abstract |
平成25年度は(1)九州地方山間地を事例とした,農地利用の維持・放棄システムに関する研究,(2)北陸地方山間地における,農地利用の維持システムに関する研究,(3)農業生産をめぐる農業者ネットワークの分析についての研究を行った。(4)これまでの成果に本年度の成果を合わせて,学術書出版に向けた準備をした。(5)では,(1)に関連して第1次産業の生産活動を通じて形成されてきた景観が維持される仕組みに関する研究について取り組んだ。 (1)については,現地調査を実施し,調査で取得したデータを整理した。その結果,農地利用が放棄される要因として,農業の生産性とは別の論理が働いていることがわかった。この研究に関しては,学術誌「地理学評論」への投稿を目標に現在執筆中である。 (2)については,石川県加賀地方の山間地において,統計資料の分析などから研究課題の調査遂行が可能な地域を探索し,いくつかの候補に絞ったた。そのなかで平成26年度に対象地域として石川県加賀市東谷地区を選定し,調査を実施する予定である。(3)については,これまでの「大産地」の農地利用を事例とした研究で提示した分析方法を,出荷を中心としたその他の農業生産活動に適用して研究を進めた。この研究に関しては学術誌『経済地理学年報』59巻2号および学術誌『村落社会研究ジャーナル』39号に掲載された。(4)については,一つの学術書としてまとめる作業を実施し,経済地理学会2013年中部支部10月例会にて発表し,平成26年度中に単著として刊行される予定である。(5)については熊本県天草市を事例に重要文化的景観として保全されてきた仕組みを,漁業を中心とした生業形態を分析することから明らかにした。この研究に関しては,日本地理学会2014年春季学術大会にて発表し,学術誌『地理科学』に投稿中である
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通りおおむね順調に進んでおり,学術論文として完成させるためのデータをおおむね収集することが出来た。北陸地方山間地については調査地選定に留まったものの,本務地との近接性が高く大きな問題とならない。また当初は4年目に著書の刊行を予定していたが2年目に刊行することとなった。これは,代表者のこれまで提示してきた「大産地」を事例とした研究方法を,「条件不利地域」へ適用するために,現時点でまとめることが必要と判断したためである。 査読付学術誌への掲載,学会発表による成果公開も順調に進んでおり,平成26年度以降も同様の成果が出るように引き続き取り組んで行く。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は2年目であり,1年目に実施した研究の成果公開に努めることと,研究計画に記載していた北陸地方山間地でのフィールドワークと,トカラ列島でのフィールドーワクに向けた準備を進めていくことを目標としている。
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Research Products
(8 results)