2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25770310
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
木村 周平 筑波大学, 人文社会系, 助教 (10512246)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 文化人類学 / 災害文化 / 歴史人類学 / 津波 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、地域の災害対応のあり方を重層的な社会的コンテクストのなかで捉え直すこと、それを通じて「災害文化」という概念について検討することを目的とする。より具体的には、「津波常習(襲)地」と呼ばれる地域の集落を事例に、地域を取り巻く政治経済的な構造、地域におけるすまい・生業・組織、そして人びとの記憶や情報の伝承という3つのレベルの変遷の相互関係を、聞き取りと一次・二次資料の分析を通じて明らかにすることを目指している。 この目的のため、本年度は、前年に引き続き、文献調査と現地調査を行った。 現地調査においては、短期調査では前年に引き続き、定点観測を行った。綾里地区では防災集団移転事業が完成する予定であったが、工事の遅れにより完成が一年遅れることとなった。そのため、引き続き仮設住宅に住む方々に聞き取り調査を行った。大船渡地区でも土地区画整理の動きは予定されていたものよりも遅れているが、そこに関わる方々、とくに、と地区区画整理後にいかに町を活性化するかということに関わっている方々に聞き取り調査をおこなった。 長期調査については、綾里地区の石浜部落において、当該部落の社会組織の変容や、部落を取り巻く政治経済的構造の変遷、マクロな変化が地域の生業やインフラ整備等にどのように影響を与えたかについて聞き取りを行い、その成果をまとめて住民の方々に報告し、意見交換を行った。また現地調査の過程で、地域の組織に関する貴重な資料を入手することができた。これは現在分析中である。 加えて本年度の実績としては、前年度の調査の成果をもとにアメリカ人類学会および日本文化人類学会で報告し、また複数の論文を執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はほぼ予定通りの調査を行うことができ、また調査の過程で予想以上の資料を入することもできた。対象とする復興プロセスの遅れのために、調査期間中に見られると想定していたプロセスのすべてを観察することはできない可能性があるが、本研究の中心的なテーマはこれまでの経緯であるため、本計画の遂行において大きな問題とはならない。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度が最終年度になるため、研究全体の取りまとめについて考えながら、研究を行う。上記の通りほぼ予定通りに進行しているため、計画に従って研究を進める予定である。
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Causes of Carryover |
校務のため、予定よりも現地調査の日数が減ったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究計画の遂行という目的を達成するために、昨年実施できなかった分の現地調査に使用する。
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Research Products
(6 results)