2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25770310
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
木村 周平 筑波大学, 人文社会系, 助教 (10512246)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 文化人類学 / 災害文化 / 歴史人類学 / 津波 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、地域の災害対応のあり方を重層的な社会的コンテクストのなかで捉え直すこと、それを通じて「災害文化」という概念について検討することを目的とする。より具体的には、「津波常習(襲)地」と呼ばれる地域の集落を事例に、地域を取り巻く政治経済的な構造、地域におけるすまい・生業・組織、そして人びとの記憶や情報の伝承という3つのレベルの変遷の相互関係を、聞き取りと一次・二次資料の分析を通じて明らかにすることを目指している。 最終年度である本年は、前年に引き続き、文献調査と現地調査を行った。現地調査は主に綾里地区で進め、大学の夏季休暇に田浜集落において昭和三陸津波以降の集落のあり方の変遷について聞き取りを行い、春期休暇には、東日本大震災に伴う津波で家屋を流失し、その後、仮設住宅などを経て集団移転・公営住宅に移った、ないし自力再建した方々にそれぞれ聞き取り調査を行った。田浜集落では、昭和津波以降の変遷がそれ以前に調査した他の集落とは大きく異なっており、災害文化というものの奥行きを考えるうえできわめて重要な視点を得た。また春の調査では、集団移転・公営住宅・自力再建の3つの選択肢のうちどれを選ぶのか、その際の要因は何かということについて詳細な情報を得ることができた。 本研究の成果としては、今年度は和書(編著)の2章(うち一冊は2016年度公刊予定)、英語論文1本として公刊され、また複数の学会・研究会で報告した。それに加え、現地での成果展示プロジェクトにも参加し、地域の方々に見ていただき、そのうえで意見交換することもできた。
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