2013 Fiscal Year Research-status Report
インド洋西海域世界の比較研究:資源利用と管理にみる多民族共存と環境・生活影響評価
Project/Area Number |
25770311
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
中村 亮 総合地球環境学研究所, 研究部, プロジェクト研究員 (40508868)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 資源利用 / 多民族共存 / 沿岸開発 / 海洋保護区 / 比較研究 / インド洋西海域 / タンザニア、ケニア / スーダン、サウジアラビア |
Research Abstract |
初年度は主要調査地であるスワヒリ海岸タンザニアと紅海沿岸スーダンにおいて研究体制の確認と課題についての打ち合わせを行った。タンザニアでは天然ガス採掘にともなうマングローブ林伐採と地域住民の生活混乱について南部ムトゥワラ州沿岸で調査を行った。また、スワヒリ語・英語・アラビア語の多言語対訳で発刊した論文("Utumiaji wa Mikoko katika Kilwa Kisiwani, Kusini mwa Mwambao wa Kiswahili, Tanzania")を、現地研究機関と村人(タンザニア・キルワ島)に手渡しで配布した。現地語で書かれた論考をもとに現地の文脈にそった議論を村人と交わすことができた。 スーダンの研究協力機関である紅海大学の研究者3名を日本(総合地球環境学研究所)に招き、海洋保護区におけるジュゴン混獲と住民生活のリスク回避について、国際シンポジウムで共同発表を行った("Resources Use of Coastal Fisheries in Sudan")。これにより、適切な資源利用と管理によって住民生活の改善と向上をめざす本科研プロジェクトの今後の方針について、スーダン・ドンゴナーブ湾海洋保護区の学術研究を担う紅海大学の研究者と直接議論することができた。 4月には、トルコで開催されたGlobal Conference on Environmental Studies (CENVISU-2013)において、キルワ島における沿岸資源保護政策が住民生活におよぼす文化的影響について国際会議の場で報告した("Coastal resource use and management of Kilwa Island in the southern Swahili Coast, Tanzania")。これを皮切りに、論文8件(国際誌×1、分担執筆×7)、学会発表7件(国際学会×3、国内×3、招待講演×1)の発表を行った。 総合地球環境学研究所が国立科学博物館で開催した企画展示「砂漠を生き抜く知恵」にて紅海沿岸の生活を模型を交えて展示することで研究成果の一般社会への還元にも努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
主要調査地であるタンザニアとスーダンにおいて、研究体制と課題についての確認をすることができたことは、初年度の成果として大きい。とくにスーダン・ドンゴナーブ湾海洋保護区における沿岸資源利用と管理については、紅海大学の研究者とともに、ジュゴン混獲の主要な原因(冬場の夜間に海草藻場周辺に設置される絹より糸製刺し網 *ナイロン単糸性刺し網は大丈夫)を推定することができた。この仮説を検証することにより、ジュゴンと漁師の双方に利益のある海洋保護区政策を立案することができると期待される。 本科研計画の基礎となった研究成果も着々と形になってきている。論文(国際誌×1、分担執筆×7)と学会発表(国際学会×3、国内×3、招待講演×1)によって公にすることができた。本年度における研究計画は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
スーダン・ドンゴナーブ湾海洋保護区におけるジュゴン混獲の原因であると推定される「冬場の夜間に海草藻場周辺に設置される絹より糸製刺し網」について仮説検証を行う。現在ではこの地域においてジュゴンの利用(食料や加工製品)はほとんどない。ジュゴンが刺し網にかかることで高価な刺し網が破損してしまうことを嫌う漁師の協力を得て、絹より糸製刺し網の使用方法(季節、場所、時間)を見直すことは可能であると考える。これにより、漁師とジュゴンの双方のリスク回避によって、安定的な漁撈活動に主眼を置いた海洋保護区政策について、紅海大学の研究者とともに検討してゆくことが今後の重要課題の一つである。 タンザニア・キルワ島では、海洋保護政策が自然環境と住民生活におよぼす影響についてこれまでどおり調査研究してゆく。スワヒリ海村社会と紅海沿岸社会における事例研究より、インド洋西海域世界の沿岸資源利用と管理についての比較研究を行ってゆく。
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[Presentation] "Resources Use of Coastal Fisheries in Sudan"2013
Author(s)
Adel Mohamed Saleh, Ryo NAKAMURA, Moamer Eltaib Ali Mohamad
Organizer
RIHN 8th International Symposium: Risk Societies, Edge Environments: Ecosystems and Livelihoods in the Balance
Place of Presentation
Research Institute for Humanity and Nature, Kyoto, Japan
Year and Date
20131023-20131025
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