2017 Fiscal Year Annual Research Report
The anthropological study on "family" in Okinawa: focusing on the link between elderly care and inheritance
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25770314
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
加賀谷 真梨 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (50432042)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 高齢者介護 / ケア / コミュニティ / 家族 / 家 / 相続 / 境界 / 沖縄 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、家族と地域住民の境界を考察し、そこから沖縄の家族を定位することを目的に波照間島における地域介護の実践に焦点を絞って調査した。 同島では住民で構成されたNPO法人が平成26年に小規模多機能型介護施設を開所し、24時間365日介護可能な空間が創出された。法制度上、同施設は在宅介護支援を目的に設計されている。だが、島では子と同居しているものの毎日三食施設で食べるといった在宅とは言い難い生活を送る高齢者が増加した。また、高齢者は身体機能の低下に伴い、自宅での生活空間が裏座から訪問介護者が出入りしやすい三番座へと移動しそこで寝起きするという現象も明らかにした。このことから、沖縄の離島社会における小規模多機能型施設の導入は高齢者のケア役割の家族外への委譲を加速化したと言える。 他方、高齢者の家族介護者に着目すると、子ども世代がその役割を担う事例が多く確認された。2010年頃までは子が妻帯者である場合には嫁が介護を担う傾向が強かったが、近年嫁の介護規範は緩くなっており、むしろ親の介護を契機に未婚男性が帰島して農業を継承する、介護施設で勤務するなど、男子が介護役割を引き受けつつ帰島する事例が多い。 以上このことから、沖縄・波照間島の現在の「家族」の特徴として以下の4点を抽出した。①家の永続的存続という論理に規定されている。②家の継承論理において父系は絶対条件であるが、長子優先や子の有無といった他の条件は後景化している。③家の継承者に付随してきた親の介護役割は要件ではなくなってきている。④家の継承は家族外に代替不可能であるが、親の介護は家族外に代替可能であると認識されている。 以上の究成果の一部は、国立民族学博物館論集に投稿し査読を受けている。
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Research Products
(4 results)