2014 Fiscal Year Research-status Report
中世中・東欧法史研究としてのザクセン・マクデブルク法研究
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25780002
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 団 京都大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (30612387)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | マクデブルク法 / 参審人 / ザクセン・マクデブルク法 / 中世都市法 / 中世中・東欧 / ハレ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、中世中・東欧の法(文化)研究の端緒としてのザクセン・マクデブルク法についての研究である。その際(1)ザクセン・マクデブルク法の形成・発展において重要な役割を果たしたマクデブルク参審人(団)についての研究、および(2)彼らが法教示を通して影響を与えた、ザクセン・マクデブルク法を受容した伝播先各国の都市法史についての研究状況の調査、が重要である。それによって、中世中・東欧都市法(文化)史の総合的理解の端緒を開くことが本研究の目的である。 この目的に鑑みて、本研究では(1)に対応するものとしてマクデブルク参審人団研究、とりわけ(a)同参審人団のプロソポグラフィ的調査、(b)『ハレ参審人台帳』の校訂作業、加えて(2)に対応するものとして、ザクセン・マクデブルク法伝播先各国の研究状況の調査、を行うことを計画した。 このうち、平成26年度は(1-a)の作業として、内外の大学図書館・文書館での調査を行った。とくにドイツ語圏の諸大学文書館の協力によって未刊行の大学学籍簿関連資料について調査を行い、前年度までの調査の補遺を行った。さらに新たに入手した史料をもとに、すでに調査済みの史料との照合・比較検討作業を行った。なお、国立文書館(ベルリン)での調査において、これまで知られていなかった、通説を修正する可能性が高い史料を発見した。 また(1-b)の作業としては、『ハレ参審人台帳』の校訂に引き続き取り組んだが、未刊行部分である第6巻および第7巻の校訂作業をほぼ終え、ハレ史の裁判所における法実務の具体的な像を描くための資料が多く得られた。 (2)に関しては、本年度は、大学図書館での資料調査をさらに進めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度には、前年度行っていた作業の継続を主な課題としていた。 1-aで挙げた作業については、更なる作業の結果、多くの新知見を得た。しかし、予想を超える新知見を得られた反面、そうした新知見を整理する作業に若干の遅れが見られ、結果として当初の目標設定を達成していない。 1-bで挙げた『ハレ参審人台帳』の校訂作業については、大いに作業が進んだ。 2については、図書館・文書館等での調査と並んで、ドイツ法制史家大会への出席をはじめとする研究者との情報交換の機会を利用し、大いに進展を見た。 以上の進捗状況を総合的に評価して、研究計画はおおむね順調に進行していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、最終年度となる。過去二年度間における作業の補完を進めるとともに、主に、これまでの調査のとりまとめ及びその分析の最終的な作業にあたることになる。また成果を漸次、論文や報告等の形で公にすることを考えている。
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