2013 Fiscal Year Research-status Report
中国の治安管理処罰法制の性格・機能・位相:制裁システムの動態構造の解明を目指して
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25780004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
坂口 一成 大阪大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (10507156)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 文献調査 / 国際情報交換(中国) / 条文翻訳 |
Research Abstract |
中国の制裁システムの動態構造の解明を目指す第一歩として、本研究は治安管理処罰法制(刑罰を科すには至らない軽微な違法行為を処罰する行政処罰)と他の法的制裁(特に刑事)との動態的関係に着目し、その実体的・手続的法制を考察し、それらとの関係における①本制度の法的性格、および②現実的機能を解明した上で、③制裁システムにおいて本制度を位置づけることを目指す。 初年度である本年度は、①本制度の法的性格の解明に重点を置き、主に次の3点の作業を進めた。 1.下位法令の整理と公表 関連下位法令を整理した上で、公安機関による行政事件の処罰・処理手続(治安管理処罰も含む)の一般規定となる公安部「公安機関行政事件手続規定」(2012年12月3日採択、2013年1月1日施行。計240ヶ条)の邦訳を進めた。 2.文献調査 治安管理処罰および刑事制裁に関する実体法および手続法に関する文献を収集・読解し、刑事制裁との関係における本制度の法的性格を理論的に考察した。具体的には、主に犯罪行為と治安管理処罰行為共通の本質的特徴とされる「社会危害性」に着目して、両行為の違いが理論的に如何に説明されているかを検討した(通説は両行為の差を「社会危害性」の質的違いに求めるが、今日、量的違いにすぎないとする批判説も有力に主張されている)。 3.第1次現地調査 2013年12月に、北京に赴き第1次現地調査を実施した。中国人民公安大学を訪問し、同治安学院の教員・学生と座談会を行い、情報を収集した。また研究協力者を訪問し、情報を収集するとともに、次年度の訪問先を協議した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①下位法令の整理と公表 公安部「公安機関行政事件手続規定」を翻訳して公表する予定であったが、まだ完成には至っておらず、若干遅れている。 ②文献調査 おおむね順調に進んでいる。 ③第1次現地調査 想定以上の成果を得たと考える。特に中国人民公安大学での座談会の参加者との交流を通じて、本制度の法的性格に関する理論的問題(研究実績の概要1参照)のみならず、他の法的制裁との連関も含めた本制度の実務・運用全般についても貴重な知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には研究計画書に沿って進める。なお、今年度公表できなかった公安部「公安機関行政事件手続規定」の翻訳を、早期に完成させ、公表する。また夏に第2次現地調査を行い、主に実務家(公安、弁護士等)を訪問する予定である。
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Research Products
(4 results)