2014 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカ民事訴訟における情報不提出または隠匿の際の制裁―不利益推定説示を中心に
Project/Area Number |
25780007
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
竹部 晴美 京都府立大学, 公共政策学部, 准教授 (00610007)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ディスカバリー / 不利益推定説示 / 制裁 / 民事訴訟手続き / 真実擬制 / 日米比較 / アメリカ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、アメリカ民事訴訟におけるディスカバリー手続きについて、当事者が不利になる証拠または情報を、隠匿もしくは破棄した場合の裁判所による制裁について検討したものである。なかでも本研究はAdverce Inference Instruction(不利益推定説示)という制裁手続きに焦点を当てた。 26年度は、前年度に行った判例調査と26年度に行ったインタビュー調査から得た情報をもとに判例分析を行った。その成果は「訴訟当事者による証拠破棄に関する裁判所の陪審への説示について : Brookshire Bros. Ltd. v. Aldridge, 438 S. W. 3d 9, 2014 Tex. LEXIS 562, 57 Tex. Sup. J. 947 (Tex., July 18, 2014)」法と政治65巻4号に掲載した。本判決は、証拠の破棄の特定意図に注目し、過失による破棄であった場合に、その証拠が重要事実(merits of the case)かどうかという点に着目して重要事実でないならばあえて破棄についての説示をする必要はないという考えを州最高裁は採用したものの反対意見が付された事件である。不利益推定説示の在り方を問う重要なケースである。 さらに日本民訴法224条の真実擬制(以下、「真実擬制」とする。)とアメリカの不利益推定説示との違いを検討した。昨年度行ったインタビュー調査の結果をもとに「当事者が文書提出命令に従わない場合等の効果:民訴法224条の「真実擬制」について」法と政治66巻2号に論稿を掲載し現在印刷中である。本稿では、まず「真実擬制」について先行研究の整理をし、つぎにニチアスアスベスト訴訟で出された「真実擬制」を中心に判例を紹介し、当該判決の問題点を明らかにした上で、日本の民事訴訟法における証拠隠匿の際の制裁規定の甘さについて指摘した。
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Research Products
(2 results)