2013 Fiscal Year Research-status Report
近代日本における未決拘禁制度の成立に関する実証的研究
Project/Area Number |
25780008
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Maizuru National College of Technology |
Principal Investigator |
兒玉 圭司 舞鶴工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (10564966)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 行刑史 / 刑事施設 / 監獄 / 未決拘禁 / 規律 |
Research Abstract |
本研究の目的は、近代日本における未決拘禁制度の成立過程を実証的に解明することにある。上記の目的を達成するため、本年度は、(1)近世における未決拘禁の位置づけを確認する、(2)明治前期における地方監獄の展開について一般化した説明を試みる、(3)いわゆる“代用監獄”の成立前史を概観する、という3点の課題に取り組んだ。 (1)については、京都府立総合資料館に寄託されている丹後田辺藩の裁判資料中、赦に関する簿冊を素材とし、赦の適用から垣間見える未決・既決の拘禁区分について分析を試みた。その一部を「丹後田辺藩における赦の特色」と題する小文にまとめて『舞鶴地方史研究』に投稿しており、近日中に刊行される予定である。 (2)については、矯正図書館・国立公文書館等を利用して明治前期の行刑にまつわる実務史料などの収集・分析を進め、法制史学会第65回総会において「明治前期における地方監獄の展開」と題する研究報告を行った。同報告の内容と、これに対するコメントを踏まえて、次年度には論文を作成する予定である。 (3)については、明治41年法律第28号「監獄法」に規定される“代用監獄”、すなわち警察署留置場が、明治中・後期の内務省・司法省関係者にとっていかなる位置づけを与えられ、その存否をめぐってどのような言及がなされているのかを確認したいと考え、矯正図書館をはじめとする諸機関において当該期の雑誌掲載論文、実務史料、新聞記事、監獄則の注釈書等を渉猟した。その結果を、「「監獄則」期の警察署留置場における未決拘禁―いわゆる“代用監獄”生成の一側面―」と題する論考にまとめ、『司法法制部季報』誌上で発表している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画において記した通り、(1)近世における未決拘禁の位置づけ、および(2)明治前期における地方監獄の展開について、史料の収集・分析を進め、一定の成果を得ることができた。 ただし、(1)については、論文掲載誌の文字数制限との兼ね合いから、未だ前提作業の一部のみしか発表できておらず、今年度も引き続き論文作成を進め、続編となる論考を発表したいと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の当初は、現時点で史料の収集・分析を終えている諸課題について、論文の作成に取り組みたい。まず、(2)明治前期における地方監獄の展開について、学会報告を基にした論文を作成する予定である。さらに、(1)近世における未決拘禁の位置づけについても、丹後田辺藩における赦の全容把握と、これを通じた未決拘禁の位置づけの確認(「当座の赦」の理解)に努めたい。 また、それらの作業に目途がついた段階で、残された課題である(4)明治前期の地方監獄と未決拘禁について、作業を進めたいと考える。具体的には、矯正図書館、国立公文書館、東京都公文書館、京都府立総合資料館などへ足を運んで夏のうちに史料収集と分析を終え、秋以降に学会(研究会)報告、および年度内に論文投稿を行いたいと考えている。
|