2014 Fiscal Year Research-status Report
オランダという「精神的自由」の実験場――グロティウスからスピノザへ
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25780009
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福岡 安都子 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (80323624)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 公法学 / 主権 / 人権 / 精神的自由 / グロティウス / ホッブズ / スピノザ |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、これまでの研究成果を国際的に発信して現地の専門家からフィードバックを得ること、またそのための研究ネットワーク作りに努めたほか、「ヘブライ人の共和国」というキーワードで総称される、旧約聖書を媒介に当時のアクチュアルな公法的・政治的問題を論ずる17世紀の議論形式、特にそれが国家・教会関係と交錯する部分に重点を置いて調査及び論文執筆を進めた。また、関連研究者との意見交換をより容易にするため、本研究プロジェクトの骨子を簡潔にまとめた文書をドイツ語及び英語で作成した。春や夏の休暇期間には、初期近代につき欧州有数の蔵書を誇るヘルツォーク・アウグスト図書館を中心に関連文献の閲覧・収集に努め、またフランクフルトのヨハン・ヴォルフガング・ゲーテ大学及びマックス・プランク・ヨーロッパ法史研究所、またベルリンの国立図書館等の研究施設を訪れ、文献収集及び関連研究者との意見交換を行った。その中でも特に、ミヒャエル・シュトライス教綬を始めとするフランクフルト大法学部教授陣からは、多くの有益な指摘を得ることができた。6月25~27日には、カナダのトロント大学で開催されたThe International Society for Intellectual Historyの2014年大会を始めとする幾つかの国際学会に参加し、英語圏の学会の動向に触れ関連研究者の知己を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、論文執筆と平行して、これまで蓄積してきた研究成果を国際的に発信し専門家のフィードバックを継続的に得ていくにはどうしたら良いか、様々な新しい経路の開拓を試みた「動」の年であった。「研究実績の概要」に記した活動において努めたのは、書き進めてきた英語稿を活字で出版することを大きな目的に、失敗を怖れず色々な形で「種まき」を行うことである。ここから芽が育つかは今後の研鑽にかかり予断を許さないが、全体として、今年度としての課題は概ねクリアされたと言えると思う。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実施計画に記したとおり、引き続き、前項で触れた英語稿をブラッシュアップし、活字として公表する道を開拓することが来年度の課題となる。特に、「ヘブライ人の共和国」に関連する研究ユニットを独立の論文として公表するか、上記英語稿の一部としてモノグラフィーを編む可能性はあるのか、あるいはさらに別の可能性を採るべきか、英語圏の出版状況などを良く考慮しつつ慎重に判断することが必要になろう。
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Research Products
(2 results)