2013 Fiscal Year Research-status Report
行政不服審査手続における手続原則の研究-行政不服審査手続の法的位相に着目して
Project/Area Number |
25780010
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
大江 裕幸 信州大学, 経済学部, 講師 (60598332)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 行政不服審査 / オーストリア |
Research Abstract |
平成25年度は,行政不服審査手続における手続原則についての従来の議論の整理およびオーストリア法に重点を置いた比較法的検討を中心に研究を進めた。 従来の議論の整理については,行政不服審査制度改革の経緯についての簡単な論文の執筆にあわせて,改革に向けた2005年以降の取り組みとこれにまつわる学説の議論状況を中心に検討を加えた。また,情報公開事件についての判例解説の執筆を契機に,行政不服審査の手続構造と決定ないし裁決の効力との関係について検討を加えた。 比較法的検討については,研究計画を一部変更し,オーストリア法についての検討を中心に研究を進めた。オーストリアにおいては,2014年1月より行政裁判制度を二審級化することを中心とした制度改革が行われ,これに伴い,行政上の不服申立ての大部分が(第一審)行政訴訟として位置付けられるようになった。この制度改革についての議論を素材に,従来の行政不服審査手続において妥当していた手続原則がどの程度(第一審)行政訴訟にも妥当するのかについて検討を加えた。この検討は,行政不服審査における手続原則と行政訴訟における手続原則の連続性の有無,程度を検討することを目的とするものであり,わが国において行政訴訟について形成されてきた手続原則を行政不服審査手続にどの程度援用することができるかについて検討を加える際の一つの視座を獲得することで,次年度以降の研究の基礎となるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
事後行政手続における適正手続原則の妥当根拠と妥当範囲についての検討が十分にできなかった。その理由は,オーストリア法を素材とした検討を通じて,行政不服審査における手続原則と行政訴訟における手続原則の連続性の有無,程度を検討する作業に重点をおいたためである。この検討作業が一段落した段階で,改めて,事前行政手続における適正手続原則を視野に入れつつ,事後行政手続における適正手続原則の妥当根拠と妥当範囲についての検討を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,オーストリア法を素材とした検討を通じて,行政不服審査における手続原則と行政訴訟における手続原則の連続性の有無,程度を検討する作業を継続する。具体的には,従前の従前の行政不服審査手続において妥当していた手続原則が,どの程度(第一審)行政訴訟にも妥当するかについて文献等を通じて解明した上で,日本法を考える際に参考となりうる点を明らかにする。 この作業が一段落した段階で,事前行政手続における適正手続原則を視野に入れつつ,事後行政手続における適正手続原則の妥当根拠と妥当範囲についての検討を行う。基本的には,日本法における従来の議論を手がかりに検討を進めるが,オーストリア法における議論や,ドイツ法における議論も視野に入れて,日本法について考える際に参考となるべき点があれば積極的に取り入れていく。 比較法的検討としては,ドイツ法を素材とした検討に本格的に着手していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度実施分については,当初計画で見込んだよりもやや安価で研究を進めることができたため,次年度使用額が生じた。 次年度使用額については,今年度の積み残した研究を実施するための物品費(書籍購入費)の一部に充て,26年度の経費とあわせて,予定している研究を推進していくために適切に使用する。
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