2014 Fiscal Year Research-status Report
行政不服審査手続における手続原則の研究-行政不服審査手続の法的位相に着目して
Project/Area Number |
25780010
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
大江 裕幸 信州大学, 学術研究院社会科学系, 准教授 (60598332)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 行政不服審査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度中の平成26年6月に行政不服審査関連三法が可決・成立し,改正行政手続法については平成27年4月より施行され,改正行政不服審査法については平成28年4月の施行が予定されていることから,その解釈,運用について検討する必要が生じた。そのため,本年度は改正法についての検討に重点をおいて研究を進めた。具体的には,旧法と新法の比較をもとに不服申立人の権利という切り口で検討を加えるとともに,今回の改正全体について概括的な検討を行い,改正の内容,特色,今後の解釈面,運用面での課題を整理した。この作業を前提として,新法において妥当する手続原則を明らかにすることが次年度の課題となる。 あわせて,わが国における適正手続原則について,その内容,射程について裁判例の分析を中心に検討を進めた。 比較法的研究に関して,前年度に引き続きオーストリア法についての研究を継続した。オーストリアでは,かねて行政不服審査制度の主たる担い手の一つであった独立行政審判所を第一審行政裁判所に改組し,行政裁判制度を二審級化する旨の改革が行われ,2014年から施行されているが,第一審行政裁判所について妥当する(第一審)行政裁判所手続法は一般行政手続法の規定を元に構築されていることから,行政不服審査手続において妥当していた手続原則が第一審行政裁判所の手続においても妥当しうることを明らかにした。あわせて,ドイツ法における手続原則についての検討を進めた。次年度は,わが国の新法において妥当する手続原則を明らかにする際の手がかりとするため,これらの検討をさらに進める。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年6月に行政不服審査関連三法が可決・成立し,改正行政手続法については平成27年4月より施行され,改正行政不服審査法については平成28年4月の施行が予定されているため,その解釈,運用について検討する必要が生じたことから,新法において妥当する手続原則を明らかにするために,改正法の検討に重点を置くことになったが,適正手続原則についての検討,比較法的検討も含め,おおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
比較法的検討をさらに進め,その成果,適正手続原則についての検討の成果を手がかりに,新法において妥当する手続原則を明らかにすることを計画している。
|
Causes of Carryover |
当初計画で見込んだよりも安価で研究が遂行できたため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は平成27年度請求額とあわせて書籍の購入費に充当する。
|
Research Products
(2 results)