2013 Fiscal Year Research-status Report
公法解釈理論の比較法的検証に基づく公法教育方法論及び立法技術論の展開の試み
Project/Area Number |
25780011
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
福永 実 広島大学, 法務研究科, 准教授 (10386526)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 制定法解釈 / 行政法解釈 / 立法資料 / 立法者意思 / アメリカ法 |
Research Abstract |
本研究は、アメリカ公法学における制定法解釈(statutory interpretation)の論議を参照することにより、①日本公法学における法解釈理論そのものに対する比較視座を提供し、②ロースクール時代における公法教育方法論の変容、即ち法解釈方法論の必要性の高まりに適宜に応じる方法枠組みを提示し、かつ、これらの作業を通じて③立法学の形成にも寄与しようとするものである。 研究初年度である本年度は、8月までは制定法解釈に関する文献(著作・論考)を邦文・英文を問わず収集し、9月より12月まで研究と平行しながら論文を作成し、結果、年度末の3月に「行政法教育と制定法解釈」広島法科大学院論集10号(2014年)を公刊することができた。 その内容は次のようなものである。かつての行政法解釈の科学論議とは別物としての、法科大学院教育論における、昨今の行政法教育における個別法解釈論の必要性の認識の高まりという動向が、比較法的にみてどのような性格を帯びるものなのかを研究した。そして、日本の法科大学院制度が一定の参考にしたと思われるアメリカでの、立法学ないし制定法解釈論の形成過程の一端を分析することとした。その結果、アメリカでは1980年代の新しい制定法解釈理論の展開が法曹教育論の再構成をもたらし、それが2000年代の行政法教育論にも部分的に波及する関係にあったことを知り、当然のこととはいえ、日米の出発点の微妙な相違を再認識するに至った。 その上で本研究の意義として、日米では展開が逆ながらも、今後の日本でも行政法解釈論に一定の進展が生じる余地を考え、論文の後半ではアメリカの制定法解釈論の基礎概念を日本法の状況と比較しながら整理・記述し、今後の課題を素描した点に研究の意義、重要性が認められる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究初年度である本年度は、8月までは制定法解釈に関する文献(著作・論考)を邦文・英文を問わず収集し、文献目録を作成しつつ、分析を平行して行った。 当初は、アメリカ公法学の研究よりも先に、制定法解釈に関する日本法の状況を集中的に分析し、その成果をアメリカ法研究とは別に公刊する予定であったが、アメリカ法と日本法を別個独立に研究する必要性はないと考え、比較法研究の手法を当初より取り入れることとした。 その結果、9月より12月まで研究と平行しながら論文を作成し、結果、年度末の3月に「行政法教育と制定法解釈」広島法科大学院論集10号(2014年)を公刊することができた。これは2年間で達成する予定の研究目標を1年早く達成できたものであり、従って残り2年を使い、十二分な比較法研究が可能となったからである。
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Strategy for Future Research Activity |
既に研究計画の2年目後半で取りかかる予定の項目に着手することができている。既に「アメリカにおける制定法解釈と立法資料」と仮称する論文を広島法学に投稿しており、今後2年間かけて連載を続けながら研究成果を公刊していく予定である。
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