2014 Fiscal Year Annual Research Report
行政代執行の基礎理論の解明―日独比較法研究を中心として
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25780023
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
重本 達哉 近畿大学, 法学部, 准教授 (60584042)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 行政代執行 / 行政強制 / 法執行 / ドイツ / 行政法 / 費用負担 / 行政手続 |
Outline of Annual Research Achievements |
わが国では近年、空き家の適正管理の一手法として行政代執行がにわかに注目され、実際に複数の自治体で行政代執行が当該管理の一環として実行された事例も存在する。しかしながら、行政代執行に関する理論的研究は依然として盛んとは決して言い難い状況にある。 そこで、昨年度に引き続いて「行政代執行」概念そのものの要素の解明を可能な限り進めるための検討を行うと共に、上記状況の原因の1つと思われる行政代執行のわが国における「機能不全」状態にも注目した結果、「行政強制の課題」髙木光・宇賀克也編『行政法の争点』(有斐閣、2014年)94-95頁という成果を公表することができた。この論文は、当該「機能不全」を含む行政強制の課題を関連法制の立法過程に立ち返りながら網羅的に洗い出した他に類を見ないものであるが、その中で、行政代執行を含む行政強制に係るコスト負担のあり方を検討することこそ行政代執行とその他の類似制度との理論的区別を明確化できる可能性を秘めていることを明らかにできた。 また、昨年度に引き続いて行政代執行などの手続面に注目した研究を進めた結果、「不利益処分・行政執行に関する行政手続」法律時報87巻1号(2015年)39-46頁という当該研究成果の一部を公表することができた。すなわち、この論文では、不利益処分手続に関する最新の裁判例を参照することにより、行政代執行手続が果たすべき機能の中核を成す、行政代執行の相手方に不服申立てなどの便宜を与える機能を活性化させる糸口を明らかにできたのである。 ただし、上記の検討に係るドイツの関連文献・判例はおおむね収集できたものの、それらの分析に基づく研究成果の公表には、関連諸制度を費用負担の面から包括的に検討することの意義を明らかにできる可能性が当該成果に大いに秘められているだけに、今少し慎重に時間をかける必要がある。
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Research Products
(2 results)