2013 Fiscal Year Research-status Report
投資協定仲裁における「事実としての国内法」への言及の実態とその理論的含意の研究
Project/Area Number |
25780026
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
坂田 雅夫 滋賀大学, 経済学部, 准教授 (30543516)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 投資協定 / 仲裁 / ICSID / 国際司法裁判所 |
Research Abstract |
本研究は投資協定仲裁を主な対象として、海外投資保護に関係する諸法規の内容確定において、詳細を国内法に依拠する事例が多く存在している現実を念頭に、その理論的意味を検討することを目標としている。 本年度は研究に関係する文献の収集といくつかの判例の分析を行った。また2007年及び2010年の国際司法裁判所によるディアロ事件判決を素材として、外国的保護の文脈において問題となる個人の権利の確定において、同裁判所が被告国家コンゴの国内法のみに依拠した事に着目して、同判決を批評する論文を公表した(「国際法における株主の保護 : 国際法委員会外交的保護条文草案及び国際司法裁判所ディアロ事件判決を中心として」(『彦根論叢』397号4-17頁)) 本年度は資料収集と分析を主たる目標としている。具体的成果の公表は次年度以降に予定しているが、可能であれば成果発表を早めたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究の初年度ということもあり基本的な文献の収集と読み込みを主な作業とした。仲裁判例については、公表済みのものはインターネット上のいくつかのサイトを通じて入手が可能であり、現状で入手可能なものを網羅的に集めることが出来ている。文献については、近年関連図書の発行が多数に上り、図書館の相互貸借なども通じて入手に努めている。 入手した判例文献の読み込みについては、かなりの量があるために網羅的な読み込みには到っていない。本研究の直接の誘因となった、国際司法裁判所ディアロ事件判決を簡単に分析する論文は公開出来たので、当初の計画通り進行していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2014年度も基本的な判例(仲裁判例、関連する国内判例)の分析に努め、集めた判例及び文献の読み込みを進める。2014年度中に何らかの形で研究成果を公表したいと考えている。 仲裁の適用法規については、昨年、H.E. Kjos, Applicable law in investor-state arbitrationとJ.W.Salacuse, The three laws of international investment : national, contractual, and international frameworks for foreign capitalが出版されており、まとまった研究がそろい始めた。これら最新の研究を踏まえながら、国内法への言及の実態と理論的意味合いを分析していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
旅費支出が予定よりも少なかった。しかしながら予定以上に関連洋書の出版が多く物品費が高額となった。結果として残額は518円となったが、この金額を年度末に細かい消耗品を購入して消化することは、予算の性質上望ましくないと考えた。 次年度予算と合算し物品(図書)購入予算とする予定である。
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Research Products
(2 results)