2014 Fiscal Year Research-status Report
投資協定仲裁における「事実としての国内法」への言及の実態とその理論的含意の研究
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25780026
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
坂田 雅夫 滋賀大学, 経済学部, 准教授 (30543516)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 国際経済法 / 投資仲裁 / 投資保護条約 / 投資紛争解決国際センター(ICSID) |
Outline of Annual Research Achievements |
海外投資保護に関係する国際法において、規範を具体的に解釈適用する際に、諸国の国内法規範に依拠する事例が多数見られている。本研究は、その実行が持つ理論的意味を分析することを主たる目的としている。 昨年度は、引き続き投資仲裁判例の分析を進めた。また公正衡平待遇条項について、その解釈適用の実体を整理検討した論文を公表した。(「公正衡平待遇条項の適用実体」『日本国際経済法学会年報』23号81-99) 本年度は、本研究の最終年度であり、最終的な成果の発表を目指す。まずは裁判拒否の概念が扱われた仲裁事例を分析する予定である。投資仲裁の場においては国内救済完了原則が放棄されているとされる、それにも関わらず、裁判所が関係する事例においては、国内裁判手続きを最後まで尽くしていないかぎり裁判拒否が成立しないとされている。そのように述べるいくつかの仲裁判例を分析し、違法行為の成立において、国内法および国内諸機関の果たす役割を分析していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究も2年を終えた。仲裁判例についてはインターネット上のサイトを通じて入手しているが、その量が膨大であり、十分な読み込みを出来ているとはいえない状況にある。また関連図書の発行量も極めて多数に及び、できうる限り所属校で購入し、また図書館の相互貸借等を通じて入手に努めたが、未だ入手できていないものもいくつか存在している。 昨年度に公正衡平待遇条項を分析した論文を公表したが、そこでは本来分析を深めたかった裁判拒否の事例にしっかりと触れることが出来なかった。裁判拒否の分析を今年度に残したという点では、研究の進度は「やや遅れている」と判断することが出来る。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度も関連判例の分析を進める。成果の発表については、最終的には海外投資保護における国内法への依拠全般に亘る理論的分析を纏めることを目指す。ただまずは裁判拒否概念を手がかりとして、国内救済原則放棄と裁判拒否概念の関係を分析する論文の公表を進める。また本研究の直接の誘因となったディアロ事件で扱われた株主の保護についても、投資仲裁においていくつか新しい興味深い動きが見られるので、それらを分析することも進めたい。
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Causes of Carryover |
残額は1776円であり、この金額で購入可能なものは限られるため、翌年度と合算して使用することにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度分と合算して物品の購入費に充てる予定である。
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Research Products
(2 results)