2014 Fiscal Year Research-status Report
法人・資産・組織再編の私法的位置づけをめぐる比較法的研究
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25780055
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
川村 力 北海道大学, 大学院法学研究科, 准教授 (70401015)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 合併 / 組合 / 法人 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究遂行者が初年度より行ってきた在仏研究を終えることが研究計画当初より予定されていたことから、①在仏での作業と②帰国後の作業とに大きく分かれ、しかし同時に、次年度に予定される成果の公表に向けて、①は在仏研究を暫定的にまとめる作業を、②は①の成果との比較と綜合を行うべく日本・アメリカを含めたこれまでの研究と突き合わせを行う作業を、行った。 第一に、年度を通じた基礎作業として、本研究が対象とする法人・組合・資産に関する法学分野での学術文献を継続的に読み進め、通時的・共時的な知見を蓄積すると同時に、課題を見直しかつ位置づける作業を行った。第二に、在仏研究においては、本研究課題を、その狭義の対象たる法学分野にとどまらず歴史学・思想史研究においてヨリ本格的な水準にもたらすことを目的としていたが、同作業の成果全体を法学的成果に折り返す軸として、法人格と教会の関係を、フランスとイタリアの段差において捉える作業を行った。第三に、フランスで所属したEcole Normale Superieure及びパリ第二大学において、在仏期間中、さらには帰国後に進めた作業から新たに生じた疑問については再度渡仏し、現地の研究者との議論および資料収集を行った。第四に、現代の日本およびアメリカの問題との付き合わせを行う、次年度に向けた準備作業として法人格に関する日米の議論を、金融取引・M&Aと非営利法人との2つの文脈において文献を網羅的に渉猟し、日本法における議論の歴史的な特徴と現代的課題とを、洗い出す作業を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、法人・組合・資産の法概念について、在仏期間を活かしたフランス研究と、アメリカの影響を強く受けた現代の金融・M&A取引とを、日本における問題状況の検討において綜合する試みであるが、第一の柱である在仏研究については、法人概念の基礎把握において、断絶と連続において複雑に積み上がる歴史的な像を、イタリアとの段差において教会財産という観点から、複合的かつ通時的に捉える視点を得、第二の柱では、一方でリーマン・ショック後の判例等の紛争や問題状況の分析が多数入手できる段階になったこと、他方で法人・非営利法人に関する商法・租税法の研究がこの数年で蓄積されつつあり、これらの研究をも検討することで、日本における現代的課題と問題意識とにヨリ具体的なアプローチが可能になると考えられるため、おおむね順調に進展しているとの区分が適切と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までの研究で、フランス研究および日本・アメリカの問題状況の洗い出しを基本的に終え、今後は成果の公表に向けた作業を行うこととなる。 第一に、法人・組合・資産、さらには教会法に関する文献の検討を引き続き行う。ただし、あくまで重点は成果の公表にあるため、研究のバランスを確保するために不可欠と思われる論点に限り、かつとりわけ年度前半に行うものとする。 第二に、リーマン・ショック後の金融・M&Aに関する紛争・制度構築、及び非営利法人制度についての近年の議論を検討する。その際には、議論のバックグランドとなる比較法の状況を含めて、東京を中心として商法・租税法の研究者と議論・検討を行う。 第三に、フランス研究の成果を形にしていく際に改めて検討を要する事項・資料が必要となることが予想されるため、東京のフランス法関係の研究者、さらには年度の極力早い段階でフランスでの資料収集を含め意見交換を得ることとする。 第四に、研究全体の成果を公表する。北大法学論集の他、複数の論文集への寄稿を予定しており、また公表に先立ち、東京及び北海道における各研究会での報告・検討を行う。
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