2013 Fiscal Year Research-status Report
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25780060
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 貴仁 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (30334296)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 株主代表訴訟 / 会社法 / コーポレート・ガバナンス |
Research Abstract |
我が国における株主代表訴訟の機能・役割に関する文献調査を開始した。研究の過程で、企業グループにおける株主代表訴訟の意義を分析するためには、親子会社関係の意義を明らかにすることが必要であることが明らかになり、派生的にこの点も研究することにした。その成果は、加藤貴仁「グループ企業の経済的意義と法規制の役割」(『会社・金融・法』所収)として公表されている。研究期間中に、かねてから法制審議会会社法制部会で検討中であった多重代表訴訟制度の導入を含む会社法改正案が公表された。これを受けて、株主代表訴訟の機能・役割に関する文献調査の成果と「グループ企業の経済的意義と法規制の役割」の成果を合わせて、会社法改正案が成立した場合に生じることが予想されている種々の法律問題に対応できるような解釈論を提示するための準備作業を開始した。 アメリカ・イギリス・ドイツを対象とした比較法研究については、SSRNを通じて公表されるワーキング・ペーパーを中心にして、文献収集を行っている。その過程で、アメリカにおいて業務執行者(officer)の責任に関する学術研究が一定の規模で行われていることが明らかになった。アメリカでは、会社経営の監督を主たる任務とする取締役と業務執行を主たる任務とする業務執行者の間では、それらの責任に関する法規制が大きく異なる可能性がある。これに対して我が国では、取締役は会社経営の監督と業務執行の双方を任務とする。しかし、これまで我が国に紹介されてきたアメリカの議論は、会社経営の監督を主たる任務とする取締役の責任に関するものであったように思われる。以上により、監督者としての責任と業務執行者としての責任の双方を総合的に考慮した上で、比較法研究を行う必要性があることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
我が国における株主代表訴訟の利用形態の実態調査について、法制度に関する示唆を得るほどにまとまったデータを得るに至っていない。その理由は、我が国における株主代表訴訟の機能・役割に関する文献調査とアメリカ・イギリス・ドイツを対象とした比較法研究を通じて、当初、予想していた事項とは異なる追加的に調査すべき事項が生じ、これらの調査を優先した点にある。
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Strategy for Future Research Activity |
我が国における株主代表訴訟の機能・役割に関する文献調査とアメリカ・イギリス・ドイツを対象とした比較法研究については、平成25年度の方針を基本的に維持した上で、研究を続行する予定である。 我が国における株主代表訴訟の利用形態の実態調査については、『資料版商事法務』に掲載される公表裁判例を中心に、今後の分析に有用なデータベースの構築に注力する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
洋書の支払額に為替変動等による誤差が生じたため。 少額であるため、特別の使用計画を予定していない。
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Research Products
(1 results)