2015 Fiscal Year Annual Research Report
子の意思尊重原理と子のための手続代理人:日独墺比較研究
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25780072
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Research Institution | Sapporo Gakuin University |
Principal Investigator |
佐々木 健 札幌学院大学, 法学部, 准教授 (00556764)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 国外調査(オーストリア) / 論文公表 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の補助事業期間最終年度となる平成27年度では、当初の研究計画としてはオーストリアにおける「子ども補佐人」法制の実態分析を行い、これまでのドイツ「手続補佐人」法制の実態分析と合わせた上で日本法への示唆を抽出し、公表することに重点を置いていた。しかし、最終年度の研究主眼であったオーストリア法制の具体的運用に関する実態調査にまで至ることができず、制度発足の歴史的経緯や制度概要の把握、関連資料の収集、実定法との関連から2013年親子法改正による子の福祉規定(ABGB138条)の確認、配慮権手続の手続期間短縮に向けた家庭裁判所援助制度の把握に留まった。 子ども補佐人制度オーストリアにおける子ども補佐人制度については、ドイツ法制と具体的職務や専門養成等の点で若干異なり、また、現時点に於いて詳細が報告されていないこともあるため、今後その内容をまとめた論文を執筆・公表することで、より手続代理人制度が活用される一助としたいと考えている。 なお、採択初年度より、日弁連子どもの権利委員会における手続代理人制度の研究会等を通じて実際の手続代理人の活動からいかなる課題が存在するか確認しているが、同研究会においてはドイツ法制の運用等をもとに課題解決への示唆を行った。 本研究における具体的な研究実績としては、日本法の制度運用上の課題を踏まえ、ドイツ手続補佐人制度の運用実態から、専門性の確保や報酬・費用償還等の観点より示唆を抽出した「ドイツ手続補佐人制度の運用と日本法への示唆」を執筆し、二宮周平・渡辺惺之(編)『子どもと離婚』(信山社、2015)253頁以下に公表したことが挙げられる。将来的により手続代理人制度が適切に活用されるための要素として、専門養成の向上に向けた発達心理学との学際的な協働の必要性、地域間の専門性格差の是正、一般市民への情報アクセスの拡充、国費負担の必要性について言及した。
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Research Products
(1 results)