2014 Fiscal Year Annual Research Report
フレイト・フォワーダーの法的地位―イギリス及び英法系諸国を中心に―
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25780073
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
重田 麻紀子 青山学院大学, 会計プロフェッション研究科, 准教授 (60404977)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | フレイト・フォワーダー / オーストラリア / 法的地位 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度のイギリスの考察を踏まえ、英法系に属するオーストラリアを対象とした。オーストラリアに関する固有の文献や論文は少なく、継続的に検索・収集を行いながら研究を進めた。 まず、オーストラリアにおけるフォワーダーの地位は、当初、イギリスの一連の判決の影響を受け、荷主のために海上運送人と運送契約を締結する荷主の「代理人(agent)」として法律構成されてきたが、近年では、コンテナによる海陸複合輸送の中で急成長したオーストラリアのフォワーダーの実像に合わせ、「本人(principal)」として荷主と運送契約を締結する者と解するのが判例及び学説の見解であることを確認した。 このようにフォワーダーが荷主と運送契約をする地位にある者として法律構成する場合、問題となるのは、海上輸送中の貨物の滅失・毀損の場面で、海上運送人と直接の契約関係(privity of contract)にない荷主が、運送人に対して損害賠償請求訴訟を提起しうるかである。この議論に関して、オーストラリアの判例およびその母法であるイギリス判例も含めた考察を行い、その結果、フォワーダーの地位の理論構成にみられる特徴として、寄託(bailment)法理による法律構成が展開されてきたことが明らかになった。すなわち、荷主を寄託者、フォワーダーを受寄者(bailee)、実運送人を再受寄者(sub-bailee)として捉えることにより、荷主は、B/L上の当事者ではなくとも、B/L条項の主張を受ける地位にあると理論構成するのである。さらに、近時の判例では、寄託構成の成否をめぐる判断基準に関しても議論が進んでいる。 研究過程において、イギリスおよびオーストラリアの法状況の根本的解明には、母法たるイギリス法の寄託理論の基礎研究が不可欠であることも認識するに至ったが、まずはここまで得られた研究成果を近日中に公表すべく準備をしている。
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