2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25780078
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
若林 泰伸 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (80329060)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 地方債 / 情報開示 / 業者規制 / 詐欺防止 / アメリカ連邦証券法 / 金融商品取引法 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、引き続き、アメリカにおける地方債証券の情報開示規制に関する研究を進めるとともに、日本における地方債証券を巡る情報開示の法制度について研究を行った。 アメリカにおける地方債証券に対する連邦証券規制については、1933年証券法が適用除外証券としている理由を探った。この点については、1933年法の起草者であるJames M. Landisの論文が引用され、「obvious political reasons」があったために、適用除外証券とした旨が明らかにされている。この点は、連邦と州との間の合衆国憲法上の問題があること、連邦議会の議員は、地方公共団体の主導者たちに選挙協力を仰いでおり、地方公共団体のファイナンスに厳格な連邦規制を課すことは望まなかったという政治的な問題などが指摘されている。 日本法については、地方公共団体の財政構造の分析を進めるとともに、地方公共団体による情報開示に関する法制度の研究に取り組んだ。前者については、地方財政法による地方公共団体の財政に関する規制の構造について研究を進め、国の財政との関係性も含めて研究したが、地方公共団体の財政の健全化に関する法律(健全化法)の分析は、まだ十分に進んでおらず、この点は次年度の検討課題である。また、後者については、地方自治法や健全化法による情報開示制度について検討したが、これらは基本的には住民に対するアカウンタビリティの確保のための法制度であって、金融商品取引法上の情報開示制度が要求する開示情報の重要性・比較可能性・適時性などの要素が十分に備わっているのか疑問があることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず、日本の金融商品取引法において地方債証券に対して情報開示規制の適用が除外されている根拠については、拙稿「地方債証券の情報開示規制の適用除外」正井章筰先生古稀祝賀論文集(成文堂から近刊)において検討した。検討課題として、地方債の安全性について、健全化法の規制の分析が残されている。 次に、アメリカ連邦証券規制における地方債証券の情報開示規制については、現在執筆中であり、今年度中に脱稿予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、現在執筆中のアメリカ法の研究を進めることに重点を置きたいと考えている。アメリカ法の研究には、主として、地方債証券に係る業者規制や不公正取引規制の研究と、情報開示規制の研究の2つがあり、両者の関係性を踏まえつつ、アメリカ連邦証券規制における地方債証券の情報開示規制の実相を把握できるようにしたい。 アメリカ法の文献については、すでに本研究の期間を通して収集してきており、今年度追加的に収集しなければならない文献はそれほど多くないと考えている。
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