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2014 Fiscal Year Research-status Report

我が国特許権侵害訴訟における出願経過の位置付け――比較法的観点から

Research Project

Project/Area Number 25780083
Research InstitutionNagoya University

Principal Investigator

西井 志織  名古屋大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (80637520)

Project Period (FY) 2013-04-01 – 2017-03-31
Keywords特許権 / クレーム解釈 / 出願経過
Outline of Annual Research Achievements

本研究課題について2013年度に公表した成果(「特許発明の保護範囲の画定と出願経過(1)-(8・完)」法学協会雑誌130巻6-12号、131巻3号)は、従来の日本では必ずしも整序しては論じられてこなかった、出願経過の(1)クレーム解釈資料性と(2)禁反言の問題を区別して論じるべきことを示すものであった。
同成果についての再検討、及び、研究者や実務家との意見交換を踏まえて、2014年度は、上記(1)に関して、クレーム解釈資料論全般の検討に入った。出願経過も、クレーム、明細書・図面、公知技術と並び、「クレーム解釈の際にどの範囲の資料をどのように考慮することができるか」という問題にいう「資料」の一つであることから、他資料との関係を含める形でのより高次の視点から研究する必要があると考えたためである。また、本研究課題が直接の対象としているのは侵害訴訟であるが、現在の制度の下では、侵害訴訟においても特許の有効性判断が行われることから、有効性判断と技術的範囲画定の両局面に関してクレーム解釈方法を考える必要がある。この問題について、ドイツ法を主な比較法対象として検討するうちに、特許法は当業者がどこから発明の実体を把握できることを予定しているかという観点から、上記両局面で統一して、クレーム解釈の資料を、原則的に、クレーム・明細書・図面(特許書類)、及び、クレーム解釈の基準となる主体である当業者の一般的専門知識に限るという着想(「特許書類内限定説」)を得るに至った。これについて、2014年12月に早稲田大学の研究会で報告し(早稲田大学知的財産法制研究所 知的財産特別講演会「クレーム解釈における明細書に開示した実施例およびその均等の機能」 西井志織発表標題「クレーム解釈の資料及び当業者基準の観点を中心として」)、論文(2015年7月刊行の論文集に掲載予定)にまとめた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

2014年度の研究実施計画は、問題意識の深まりにつれ、方向性を些か修正することとなった。「研究実績の概要」に記したように、本研究課題に適切な解を出すためには、(1)クレーム解釈資料性の問題に関して、出願経過のみを取り上げて考察するのではなく、解釈資料論全体を意識する必要があるという認識に至ったためである。研究の結果、クレーム解釈資料の「特許書類内限定説」について、研究会で報告し、論文を執筆をすることができた。他方で、(2)禁反言については、2013年度公表の論文よりさらに深めた検討を行うことはできなかった。しかし、「クレーム解釈」が、特許法の一大テーマをなすレベルの問題であるがゆえに、これもやむなしと考えている。

Strategy for Future Research Activity

2015年度は本研究の最終年となる。引き続き、出願経過資料を含むクレーム解釈資料論を最優先で取り組むべき課題とし、文献をもととした比較法研究(主にドイツ・英国・米国)を行い、「特許書類内限定説」の当否を含め検討を進める。最終的に、審査制度などの前提となる諸制度の各国間異同に注意しながら、日本法への示唆を得る。この際、研究者のみならず、実務家との意見交換も積極的に行っていく予定である。
授業期間中はまとまった研究をするのは難しいため、文献収集や翻訳、研究会での意見交換を通じて問題意識を深め、長期休暇を利用しながら成果をまとめて、公表する。

Causes of Carryover

2014年度は、学務等との関係で、出席を予定していた研究会に参加(出張)できないことが多かった。また、購入を希望していた物品についても、十分な検討の時間をとれず、次年度に回さざるを得なかったものがある。図書(文献)については、特許法全体を扱う和書・洋書の中には、他の経費で購入したものもあり、本予算を当初予定ほど執行しなかった。

Expenditure Plan for Carryover Budget

本研究課題が、当初想定していたよりも学問的な広がりの大きなテーマであると判明したことから、2015年度は、本研究課題に関係する可能な限り多くの研究会に参加(出張)し、最新の研究成果・動向についての知見を獲得したいと考えている。また、今年度に引き続き、研究を円滑に進めるための物品・文献を購入させていただく予定である。年代の古い資料等については、所蔵する図書館等が限られるため、資料調査に行く必要性も生じるかもしれない。

  • Research Products

    (2 results)

All 2014 Other

All Journal Article (1 results) (of which Acknowledgement Compliant: 1 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] 保護範囲画定の局面における出願経過の位置付け2014

    • Author(s)
      西井志織
    • Journal Title

      日本工業所有権法学会年報

      Volume: 37 Pages: 29-54

    • Acknowledgement Compliant
  • [Remarks] 名古屋大学教員情報検索 教員詳細

    • URL

      http://profs.provost.nagoya-u.ac.jp/view/html/100006329_ja.html

URL: 

Published: 2016-06-01  

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