2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25780084
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
田上 麻衣子 東海大学, 法学部, 准教授 (80408020)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 伝統的知識 / 生物多様性条約 / 遺伝資源 / 名古屋議定書 |
Research Abstract |
現在国内外において伝統的知識の保護に係る取組が急速に進められているが、本問題に関する学術研究の蓄積は少ない。しかし、伝統的知識の保護に係る今後の議論の行方は、我が国の政策決定、企業等の研究開発、学術研究等の多様な範囲に影響を与える可能性があるため、多様な学際的視点と理論的・実務的観点からの研究実施への要請が高まっている。こうした要請に応えるべく、本研究は、国内外の関連研究成果の分析・集約、諸外国及び関連国際機関の立法動向の把握、我が国の伝統的知識の保護状況の把握や関連団体等の意見集約などを行うことにより、伝統的知識の保護の在り方について統合的な検討・考察を行い、伝統的知識の保護のあるべき姿を提示することを目的としている。 最初の年となる平成25年度は、主として国内外の動向及び研究状況の把握・整理を行った。国内外の文献・資料の収集等を行うとともに、名古屋議定書に係る国内措置のあり方検討会への参加、関係者へのヒアリング、伝統的知識の保全・保護の現状に関する調査の実施等により、論点の整理・課題の抽出を行った。また、並行して生物多様性条約関連会合や世界知的所有権機関(WIPO)における国際的な議論の状況を分析し、全体像の把握に努めた。諸外国の動向に関しては、名古屋議定書の実施に向けて各国が立法措置等の検討を行っていることから、幅広く情報収集を行い、適宜、柔軟に対応している。地域統合へ向けた動きが加速している東南アジアについては、地域的な取組について調査を行い、その成果をまとめた。この他、名古屋議定書の実施に係るEU規則について、起草・採択の過程における資料を収集し、その内容及び主要論点の分析・研究を進めているところである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
伝統的知識の保護に関する国内外の関連文献・資料の収集を行い、それらの整理・分析を行った。また、フィールドワークを実施するとともに、関連する多様な分野の有識者・実務家らと積極的に意見交換を行うことにより、論点の抽出・整理を行った。さらに海外の動向については、特に東南アジアの動きを調査するとともに、特に我が国への影響が大きいEU・中国の立法動向についてもフォローした。これらはいずれも当初の実施計画にそったものであり、研究はおおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、国内外の動向調査・ヒアリング調査の作業を継続する。また、名古屋議定書に関しては、2014年4月末現在で批准国が30か国を超え、今後、発効に向けて関連する議論や各国の取組に進展が予想される。さらに、WIPO関連では伝統的知識の保護に係る規定案の採択に関する議論も注視する必要がある。そして、これら国際的な動きにあわせて、国内でも国内措置の制定・運用に向けた検討の加速が予想される。 こうした国内外の多様な動きに迅速かつ的確に対応するため、26年度には中間とりまとめを行い、国内の立法状況と国際的な議論の進展を基に27年~28年度の方向性を決定する。また、平成26年段階での成果をとりまとめ公表する予定である。
|
Research Products
(2 results)