2013 Fiscal Year Research-status Report
DV被害者支援における実効的な警察機能・役割の検討
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25780085
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kansai University of Welfare Sciences |
Principal Investigator |
松村 歌子 関西福祉科学大学, 健康福祉学部, 講師 (60434875)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ドメスティック・バイオレンス / 保護命令 / ジェンダーと法 |
Research Abstract |
本研究は、アメリカのプロテクション・オーダー制度を初めとするドメスティック・バイオレンス(以下DVという)被害者支援策の現状と課題について、文献調査や聞取り調査等によって分析・検討し、日本法の実践と比較・対照することで、いわゆるDV防止法の改正や、より利用しやすい制度の構築を検討するものである。 平成25年度においては、関連する研究会や学会に積極的に参加し、国内の民間支援団体や自治体関係者から情報収集を行うとともに、アメリカのニューヨーク州のFamily Justice Centerを3カ所訪問し、組織の概要や他機関との連携、警察の逮捕政策、安全確保の仕組み、自立支援の制度等について、話を伺うことができた。ニューヨーク市では、行政の側で、相談の受理から対応までを一元的に取扱う窓口を設置するというワンストップサービスのモデルが導入されており、警察官や弁護士、検察官、カウンセラー、ソーシャルワーカー、ロースクールのリーガルクリニックの学生など、被害者支援に必要と思われる人材が一堂に会していた。ニューヨーク市における殺人事件件数の減少なども含め、公的機関によるDV事案の早期認知及び認知後の多面的対応に大きな成果を上げているという。アメリカの多くの州では、逮捕強制政策を採っているところも多く、暴力に対してNoを突きつけていることが社会の共通認識となりつつある。DVを単なる家庭のもめ事や夫婦げんかととらえるのではなく、公衆衛生や刑事司法など社会に直面する問題としてとらえ、警察の一貫した対応、被害者の安全確保や加害者対応、被害の予防や暴力防止教育、自立支援や心のケアなど、多岐にわたり組織的な支援が行われている。このようなワンストップの仕組みは今や全米にとどまらず諸外国にも広がっており、引続き、調査の継続と日本への導入可能性を検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、当初予定していた通りの学会やシンポジウム・研究会に参加し、情報収集及び、関連する研究者や支援者との交流を深め、意見交換を行うことができたほか、宮崎県男女共同参画局、DV被害者支援団体、女性センターに聞き取り調査を行うことができた。 また、アメリカ・ヴァージニア州・ワシントンDC・ニューヨーク州において、Center for Child and Family Services、National Council For Adoption、Family Justice Centerを訪問し、女性に対する暴力及び子どもの問題に関するアメリカの現状と対策について話を伺うことができた。 訪問先で得た資料や知見は、関連する研究者らと情報共有し、平成26年度には研究会や学会で報告する予定であり、問題点・課題の把握やこれからの日本の被害者支援のあり方を検討する上でも、平成25年度に実施した調査や資料収集は有用であった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度も引き続き、関連する学会やシンポジウム・研究会に参加し、情報収集及び関連する研究者や支援者との交流を深め、意見交換を行う等をして研究を進める。この調査研究を通じて得た知見は、日本女性学会、近畿学校保健学会、アジア犯罪学会、司法福祉学会で報告する予定である。研究に必要な資料や統計などについてはインターネットや書籍を中心に収集し、必要に応じて担当者に電話・メール等で確認をするほか、研究の進展に伴い、新たな質問項目や疑問点が生じるなどして更なる調査が必要な地域には再度訪問し、聞取り調査等を行いたい。
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