2015 Fiscal Year Research-status Report
過誤と帰責をめぐる政治行政分析:事後検証機関を中心に
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25780106
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
手塚 洋輔 大阪市立大学, 大学院法学研究科, 准教授 (60376671)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 行政学 / 事後検証 / 第三者委員会 / 非難回避 / 審議会 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,不祥事や事件事故などが発生した後に,しばしば設置される「事後検証機関」に焦点をあて,設置形態や報告書の実態分析を行った上で,そのパターンを同定し,日本の特性を国際比較の中に位置づけることを目的としている。 第3年度となる平成27年度は,これまでの成果を踏まえ,さしあたり2000年代以降に関して事後検証機関の設置形態を横断的に検討し,そのパターンの同定と変容を解明した。具体的には,1990年代まで「内部調査モデル」が主流であったところ,2000年代より事後検証機関の設置がほぼ標準装備化されたことを示した。これは民間企業における場合と軌を一にする動きである。もっとも,行政機関の場合重要なことは,設置形態には「審議会モデル」と「第三者委員会モデル」という異なる2つの系譜があることである。そして,おおむね,内部調査モデル→審議会モデル→第三者委員会モデルという流れがあることを明らかにした。その上で,政権の課題に直結するような特殊な場合にはそれらから派生した「政府内第三者委員会モデル」があることをも把握することができた。この成果については,関西行政学研究会にて研究報告(手塚洋輔「事後検証機関の政治行政分析」)し,広い観点から検討を行った。 加えて,理論研究については,オーストラリア・カナダ等を対象した研究文献を検討し,国際比較に展開可能な枠組みの検討を進めたほか,研究課題全体の成果とりまとめに関して,書籍の出版に向けた準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
設置形態のパターンに関してはおおむね予定どおり進捗させることができたと考えられるが,報告書内容の横断的分析が課題として残っている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の成果を取りまとめるにあたり,さしあたり日本の実態分析とその変容を解明することに注力することとしたい。
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Causes of Carryover |
本年度は,本年度配分額以上を書籍費等により使用したとはいえ,前年度からの未使用額もあり,また,研究機関の異動によって学生アルバイト等の雇用が必要性が減じたことも影響して人件費等での未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究期間を延長することで,事例収集範囲を拡げる等,研究の精緻化を行いつつ書籍化に向けた準備をすすめる。そのために必要な物品・旅費等にも適宜振り分けつつ使用する。
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