2016 Fiscal Year Annual Research Report
Political analysis of Public inquiries in Japan
Project/Area Number |
25780106
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
手塚 洋輔 大阪市立大学, 大学院法学研究科, 准教授 (60376671)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 行政学 / 事後検証 / 第三者委員会 / 非難回避 / 審議会 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,不祥事や事件事故などが発生した後に,しばしば設置される「事後検証機関」に焦点をあて,設置形態や報告書の実態分析を行った上で,そのパターンを同定し,日本の特性を国際比較の中に位置づけることを目的としている。 第4年度となる平成28年度は,前年度までに進めた設置形態のパターンに関する分析を一区切りし,研究課題全体の成果とりまとめとして出版の企画の内諾を得ている書籍の執筆作業に注力した。具体的には,書籍化を進めるにあたっては事後検証機関の経緯を再評価することが不可欠との認識から,これまで十分に実証されていないいくつかの断面に着目してそれらの資料収集・分析を行った。 例えば,事後検証機関の設置の端緒という点では,1990年代に叢生した地方自治体における食糧費等公費不正問題への対応が重要となるが,新聞記事データベースが整っている全国紙レベルではその捕捉が困難であることに鑑み,地方紙を重点的に渉猟するといった作業を行った。 また,内閣レベル・省庁レベルにおいては,不祥事対応の内情は必ずしも新聞記事からだけでは明らかにできないところについて,これまで行われてきた内閣レベルのオーラル・ヒストリーを読み返す作業を進めた。この成果の一部は,オーラル・ヒストリーという観点から,韓国で行われた東アジア日本研究者協議会国際学術大会で報告した。 加えて,行政学全般に関する教科書(共著)及び公共政策に関する教科書(共著)を刊行したが,本研究課題の成果を十分に活かした内容・構成にすることができた。その意味において,一定の学術的貢献を果たし得たと考えている。
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