2014 Fiscal Year Research-status Report
カナダにおける討議デモクラシーの発展に関する研究 ‐王立委員会から市民議会へ‐
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25780108
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Research Institution | Kanagawa Prefectural Institute of Language and Culture Studies |
Principal Investigator |
岡田 健太郎 神奈川県立国際言語文化アカデミア, その他部局等, 講師 (50641255)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 討議デモクラシー / 熟議デモクラシー / 公聴会 Public Hearings / 市民参加 / シティズンシップ / 社会的学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、カナダのブリティッシュ・コロンビア州選挙制度改革市民議会(Citizens' Assembly)を研究上の出発点・手掛かりとして、カナダ政治における討議デモクラシー的な複数の場(制度)を考察し、それらを討議デモクラシー理論の観点から再構成することにある。 平成26年度は、前年度中に実施した現地調査(ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー、ビクトリア)で入手した史・資料を中心に研究をすすめた。具体的には、カナダの王立委員会制度において、どのような市民参加による討議の構造が存在したのかについて、一次史・資料をもとに考察を行ってきた。 研究の対象としたのは、1970年代に設置された王立委員会であるマッケンジーバレー・パイプライン調査委員会における公聴会の構造とその役割である。公聴会(Public Hearings)制度そのものは、連邦議会や州議会、審議会等でも活用される仕組みであるが、王立委員会における公聴会の場合、そこへの参加が有識者や専門家にとどまらず、問題に関心のある市民にひろく開放されることがある点に特徴がある。マッケンジーバレー・パイプライン調査委員会の場合、専門家等を中心とする公聴会とは別に、あえてだれでも参加が可能なコミュニティ公聴会を実施し、「公聴会の複線化」を図った点に特徴がある。本研究ではこの点に着目し、このコミュニティ公聴会が市民にとっての学習や政治参加の場、シティズンシップの育成の場でありえた可能性を見出した。 また平成26年度には、日本カナダ学会研究大会(関西学院大学上ヶ原キャンパス)において「カナダにおける市民の政治参加の拡大と変容:選挙制度改革市民会議を中心に」と題して報告を行った。この報告では、ブリティッシュ・コロンビア州とオンタリオ州における選挙制度改革市民会議における市民参加の構造について、本研究のテーマに沿って考察を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は前年度の調査で得た資料を活用して日本カナダ学会研究大会(関西学院大学上ヶ原キャンパス)において研究報告を行った。また、同じく調査での成果をもとに論考を執筆した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで二年間、順調に調査・研究を行い、その成果を公表してきたので、最終年度である2015年度もひきつづき同様に調査・研究を進める予定である。オンタリオ州選挙制度改革市民議会についての一次史・資料の収集と分析に力を入れるほか、そこでの市民参加の構造について分析していく。
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Causes of Carryover |
現地調査を平成27年度に集中的に実施する予定であるため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現地調査を実施するとともに、予定にしたがって適切に予算を執行していく。
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