2016 Fiscal Year Annual Research Report
Between European integration and Globalization: A study on the international monetary policy of the Thatcher government
Project/Area Number |
25780116
|
Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
池本 大輔 明治学院大学, 法学部, 教授 (40510722)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 欧州通貨統合 / 金融グローバル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度の2016年度は、引き続きイギリス・ナショナルアーカイブにおいてサッチャー政権期の経済政策策定に関連する首相文書・大蔵省文書の収集にあたった。第一次政権期の1979年に行われた為替管理の撤廃(国際資本移動の自由化)についての前年度までの研究をフォローアップする一方で、第二次政権期以降の国際経済政策定に関わる資料の収集・解析にとりかかった。ここでの問題は大きく分けて二つある。第一に、大陸欧州諸国が欧州通貨制度を設立し、通貨統合への道を歩み始める一方で、なぜサッチャー政権が政権末期の1990年に至るまで同制度の中核である欧州為替レートメカニズムに参加しなかったのか。第二に、同政権が1987年に金融規制緩和(金融ビッグバン)を断行したのはなぜか。第一の決定がイギリスのEU内部での孤立をもたらす一方、第二の決定はロンドンの国際金融センター・シティがドルの国際的役割を下支えすることをつうじて、米英両国間での国際金融に関する密接な関係を再建することにつながった。 ナショナル・アーカイブでの資料公開は30年ルール(作成後30年を経過した資料が公開される)から20年ルールに移行することが決定されているが、移行が当初の予定より遅れているため、現時点ではこの二つの問題に確たる答えを与えるのに十分な資料は入手できていない。とはいえ、今年度に二週間近く当地でアーカイブリサーチを行い、2万ページ近い資料を収集することが出来たことは重要な成果である。来年以降に公開される資料の分析とあわせて、上記二つの問題に関する研究成果を可能な限り早く雑誌論文や著書といった形で公表したい。
|
Research Products
(4 results)