2016 Fiscal Year Annual Research Report
Postwar Japan's Diplomacy toward China and the Soviet Union and its Leaders' Perceptions on the Sino-Soviet Relations: Focusing on the 1950s
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25780118
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
神田 豊隆 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (70609099)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 日本政治外交史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、1960年代を対象にした拙著『冷戦構造の変容と日本の対中外交』(岩波書店、2012年)で提示した分析視角を活用しつつ、1950年代の日本の外交指導者について、その中ソ関係に関する認識を検討するものであった。その際、日本・アメリカ・イギリスなどの外交文書を利用して、高い実証性を有する歴史研究としての水準を満たすことを図ったものである。 当初「研究の目的」において、以下のような仮説を提示した。 すなわち、戦後日本の政治指導者の間で、いわゆる「保守本流」は、対米英協調と「親中・反ソ」という日本外交の伝統を重視する「日米中」提携を模索した。他方で「反吉田」系は、米ソ中心の秩序を是認した上で、中ソ双方との関係両立を図る「日米中ソ」協調を追求していた。この二つの系譜が、戦前から冷戦期の長期に渡って継承関係を持っており、そしてどちらが政権を担うかによって、実際の対中・対ソ外交に相違があった。 この仮説は、拙著で扱った1960年代に止まらず、本研究が対象とする1950年代においても基本的には当てはめることが可能であることを、本研究を遂行する中で確認した。のみならず本研究では、当初は予定していなかったものの、政治家レベルのみならず、当時の外務省や民間のメディア・論壇に関しても考察の対象を及ぼし、いわゆる「政治外交史」としての狭い視点だけではなく、一定程度当時の社会的文脈にも目を配ったバランスの取れた議論を行うことが出来たものと考えている。
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Research Products
(5 results)