2013 Fiscal Year Research-status Report
グローバル規範の生成・変容・消滅メカニズムに関する研究
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25780121
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
足立 研幾 立命館大学, 国際関係学部, 准教授 (70361300)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 規範 / 規範起業家 / 規範守護者 / 国際社会 / 軍縮 |
Research Abstract |
国際関係における規範研究は、これまで規範が成功裏に拡散する事例に過度に焦点があてられてきた。それゆえ、国際関係における規範に関する理論研究の射程も、規範の拡散成功に関するものにほぼ限定されてきた。本研究は、これまでほとんどなされてこなかった規範の拡散失敗、あるいは規範の消滅に関する実証研究を進めている。 平成25年度については、新たな規範が成功裏に拡散した対人地雷問題と、新たな規範が拡散することに失敗した医薬品特許を巡る問題の事例比較を通して、この問題を検討した。そうした研究から、規範の拡散の成否を分けた一つの要因として、新たな規範を広めまいとする既存の規範の守護者(規範守護者)の役割の重要性が浮かび上がってきた。また、規範守護者に注目し、彼らの活動戦略についての分析も進めた。こうした成果は、「新たな規範の伝播失敗―規範起業家と規範守護者の相互作用から」と題した学術論文としてまとめ、『国際政治』誌に収蔵され、関心を集めている。また、本研究のアイディアが高く評価され、国際関係論文や世界最大の学会であるInternational Studies Association主催の「Norm Anti-Preneurs': Enhancing Scholarly Understanding of Resistance to Global Normative and Legal Change」と題したワークショップに招待された。また、International Stuides Associationの年次研究大会でも報告を行い、好評を得た。 また、主として軍縮にかかわる分野における他の事例研究も進めている。たとえば、平成25年度については、クロスボウや毒などの、かなり早い段階で広まった兵器使用禁止規範を巡る規範起業家と、規範守護者の関係の分析を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
規範研究の世界的第一人者である、Clliford Bob、Amitav Acharyaを招いた研究会を開催することができ、理論的な検討、精緻化はかなりの程度進めることができた。またそうした成果を踏まえた研究報告を、国際学会で行うこともできた。事例研究よりも、理論的な精緻化がやや優先して進められたこともあり、調査については、ジュネーブではなく、ワシントンDCで行ったが、全体としてはおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在のところ、おおむね予定通り研究は進んでおり、研究計画の大きな変更等はない。理論的な精緻化は予定以上に進展したので、この成果を踏まえつつ、実証的な研究を、予定していた以上に効率的に進めていくことができるのではないかと、期待している。
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Research Products
(5 results)