2015 Fiscal Year Research-status Report
金融安定化政策の制度的・政治的課題:英国・EMUの事例研究
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25780123
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
神江 沙蘭 関西大学, 経済学部, 准教授 (90611921)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 国際政治経済学 / EU統合 / ユーロ / 金融危機 / 金融監督 / 金融ガバナンス / 政治学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、欧州における政策相互の連携の不完全性が金融安定化にもたらす影響を分析するものである。平成27年度は金融・通貨政策において、個々の政策領域に応じて統合の程度が異なる点に注目し、それが金融市場のリスクにどのようなインパクトを与えたか、そしてユーロ危機によって統合のあり方はどう変化したかを分析した。研究成果発表としては、2015年10月30日~11月1日日本国際政治学会(JAIR)研究大会(於仙台国際センター)で単著論文を発表し(論文タイトル:「欧州統合と金融ガバナンス:不均衡な発展」)、有益な意見交換を行った。また前年度から引き続き岩波書店から出版予定の単行本の執筆を進めており、平成28年度に完成予定である。さらに本プロジェクトの英語版での出版について、オックスフォード大学出版会の審査(ピアレヴュー)を受けていたが、本年度7月の審査結果を踏まえてプロポーザルを修正して再提出、再審査を経て正式に契約が成立した。英語版での単行本の執筆も開始する一方、本年度2月~3月は平成28年4月のヨーロッパ研究協議会(Council for European Studies:CES)第23回大会(於フィラデルフィア)での報告論文(論文タイトル:「The Politics of Integration: How Reform Dynamics Changed after the Euro Crisis」)の執筆を集中的に行った。また本年度9月に業界紙『月刊ジャーナル金融』において、コメンタリー「今日の問題:ユーロ圏の金融安定化に向けた改革と課題」を掲載し、学術界だけでなくより広い範囲の社会への発信を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本プロジェクトについて、邦語での単行本(岩波書店)の執筆を進めつつ、英語での単行本についてもオックスフォード大学出版会との間で正式に出版契約を成立させることができた(実際の出版は完成原稿の最終審査を経ることとなっている)。執筆を進めるとともに学会発表を定期的に行い、意見交換を通じた研究の質の向上を図っている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初は平成27年度で本研究プロジェクトは終了予定であったが、妊娠・出産の影響で当年度ヨーロッパ研究協議会(CES)第22回大会(於パリ)での報告を(プログラム確定前に)辞退したこともあり、研究期間を一年延長することになった。平成28年4月のヨーロッパ研究協議会(CES)第23回大会(於フィラデルフィア)で研究成果を公表し(現地点で報告済)、査読付雑誌への投稿に向けて修正する予定である。また5月11日にジャンモネCOE国際ワークショップ(神戸大学)で報告することになっており、海外の研究者を含めた専門家等との意見交換を通じて、研究の質の向上を図る。また邦語での単行本(平成28年度中に完成予定)だけでなく、英語版での単行本(平成30年度中に完成予定)の執筆を進めていく。加えてイギリスのEU離脱可能性をめぐる議論を踏まえつつ、欧州金融市場のガバナンスについてユーロ圏内外の枠組みの違いを考慮し、統合に関わる政治的・経済的問題を検証する。
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Causes of Carryover |
妊娠後期と重複したこともあり、体調等を考慮して、平成27年7月に参加する予定であったCouncil for European Studies第22回年次総会(開催地、パリ)での報告を(プログラム確定前に)辞退したため、その分として計上していた予算が次年度に残った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本プロジェクト研究成果として、平成28年4月14日~16日開催のCouncil for European Studies第23回年次総会(開催地、フィラデルフィア)で単著論文「The Politics of Integration: How Reform Dynamics Changed after the Euro Crisis」を報告した。残額の大半はこの報告のための旅費等として使用する。旅費計上後の未使用分は、平成28年度中に完成させる予定の岩波書店への提出原稿執筆の資金等として用いる。
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Research Products
(4 results)