2013 Fiscal Year Research-status Report
眼球運動と経済的意思決定:アイトラッキングを使った実験研究
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25780129
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
竹内 幹 一橋大学, 大学院経済学研究科, 准教授 (50509148)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 実験経済学 / アイトラッキング / 眼球運動 / 意思決定 |
Research Abstract |
アイトラッキングを用いた経済実験を平成25年11月に行った。実験に用いた刺激課題は被験者本人の選好とは無関係な「グレーの濃淡」を比較してもらうというものである(服部光氏との共同研究)。 このような正解がある問題を解くとき、被験者は見比べながら選択に至る。このプロセスをモデル化したものに、drift-diffusion が知られており、われわれはまずそのモデルを用いて、データフィッティングを行った。 実験では、灰色の4つの四角形がPCモニターの上下左右に均等配置で表示される(各四角形のグレーの明るさは異なっている)。左側に表示された四角形のペアと右側のペアを比べ、左右どちらのペアが全体的に明るいかを推定する課題であり、正解するごとに謝金を追加した。現データでは、被験者は、平均11.5秒かけて左右のどちらかを選び、その間に26.3回も視点を移していることがわかった。 この視線データをもとに、drift-diffusionモデルのパラメータを推定したところ、明るい灰色の四角形を見るほどそちら側(たとえば、左側にその四角があれば左)を選びたくなり、暗い四角を見るほどその四角形とは反対側のペアを選びたくなるという"気持ち"の時間変化を再現できた。 この実験課題の新規性は、選択肢に複数の属性(2つの四角の色)があることと、客観的な正解があることによって、その正解を当てるために属性を統合する過程が必要となる点である。そして、結果の新規性は、「反対側を選びたくなる気持ち」を負のパラメータで表すことに成功した点にある。 以上の結果を、服部氏が、実験社会科学カンファレンス(高知工科大学:平成25年12月22日)に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
意思決定と眼球運動を関連づける適切な実験方法をみつけることが平成25年度の主な研究目標であり、前述したグレーの濃淡を判別させる方法をとることで、意思決定と眼球運動が関連づけられたデータを得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、モデルの精度を上げ、意思決定過程をさらに分析する。特に、迷うこと、あるいは、なぜ人は迷わなければいけないのかについて理論的な説明ができるような新しいモデルを設計し、その妥当性を別の実験によって判定する。
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Research Products
(3 results)