2014 Fiscal Year Annual Research Report
教育補助政策が世代間階層移動、所得格差、そして経済成長に与える影響
Project/Area Number |
25780135
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
村山 悠 大分大学, 経済学部, 准教授 (20588404)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 世代間階層移動 / 所得格差 / 経済成長 / 教育補助政策 / 所得再分配政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、教育補助政策が社会階層の流動化、所得格差の縮小、そして経済成長を実現することができるかどうかを明らかにすることであった。また、平成26年度の研究実施計画は、平成25年度において構築した理論モデルから得られた結果をより明白にするために、シミュレーションソフトを用いて分析を行うことであった。 平成25年度では研究が順調に進み、本来平成26年度に行う予定であったシミュレーション分析を前倒しで行うことができた。そのため、平成26年度では、研究をさらに進めるために、所得再分配政策の影響を分析し、教育補助政策と比較するという研究を行った。その結果、教育補助政策は上方移動(低収入の親の子供が高等教育を受け、将来高収入の職に就く)を促し、所得格差の縮小と経済成長の促進を実現することができるが、所得再分配政策は所得格差を縮小させるが、下方移動(高収入の親の子供が高等教育を受けず、将来低収入の職に就く)を促してしまうため、経済成長を阻害してしまうことがわかった。したがって、格差の縮小と経済成長の促進という観点からみた場合、教育補助政策のほうが所得再分配政策よりも望ましい政策であることがわかった。 本研究の重要性は、教育補助政策と所得再分配政策が社会階層、所得格差、そして経済成長に与える影響を動学的に分析し、これら二つの政策を比較していることである。同様の分析をしている先行研究としてSchneider(2010)などがあるが、動学的に分析している研究はほとんどない。また、成長戦略として教育補助政策が重要な政策であることを示している点で意義のある研究成果だと考えられる。
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