2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25780138
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
後藤 英明 早稲田大学, 高等研究所, 助教 (10552325)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 社会的選好 / 意図 |
Research Abstract |
本研究の目的は、以下の2つです: (1) 自分の利得に対する欲求に加えて、利他性・互恵性・信頼等、社会的選好を併せ持つ個人を定式化する。 (2) 個人の選好は、どのような社会的・経済的要因から、どのような影響を受けながら形成されるかを考察する。 平成25年度は、「研究実施計画」に則り、関連する研究をサーベイした上で、上記(1)の課題に取り組みました。その結果、平成26年度は、以下のような特徴を持つ個人のモデルを用いて(2)の課題に進もうと考えています。第一に、親切と思しき人には親切にし、意地悪と思しき人には不親切にすること。つまり、相手の意図を察して、それに応じて自分の行動を決めること。第二に、相手の信頼に応えること。つまり、相手が、損をする(=裏切られる)危険を冒しながら、両者にとってより良い結果が得られるような選択肢を自分に与えてくれた場合には、(莫大な利得に目がくらまない限り)裏切らないようにすること。 「相手の意図に応じて異なる行動をとる個人の選好」、さらにその拡張として、「相手の意図に加えて、行動の結果得られる相手と自分の利得の大小をも考慮に入れた上で互恵的な応答をする個人の選好」等が、すでに提示されています。しかしそれらの定式化では、相手と自分の利得の大小や差に応じて互恵的な行動をとると仮定しているため、相手が①どのような行動・利得配分の中から、②どの程度の利他性(や公平性)をもってその行動・配分を選択したのか、という点を考慮していません。本研究では、これらの点を考慮することによって、これまでの互恵的選好モデルを改善すると共に、利他性や信頼をも組み込んだより現実的な個人の選好を考察の対象としています。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、①関連研究のサーベイ、②社会的選好の定式化、の2点を実施する計画でした。いずれもおおむね計画通りに進展しています。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、定式化された社会的選好を基礎として、その選好がどのように形成されてくるのか、また、それらの選好の程度や分布には社会的・経済的要因があるか否かを分析します。 具体的には、ある社会の中で、他の人々と共同作業や取り引きをするとき、それらの作業や取り引きが持つどのような特徴が、個々人の選好に対してどのような影響を与えるかを考察します。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度中には、これ以上購入が必要な書籍等がなかったため。 平成26年度の書籍購入費等として使わせて頂く予定です。
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