2014 Fiscal Year Research-status Report
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25780157
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
黒川 義教 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (50338224)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 参入政策 / 反トラスト政策 / 企業数 / 企業規模 / 賃金格差 / 補完性 / 国際貿易 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、平成25年度に理論的に示した主な二点を、数値例を用いて分析した。第一に、単純な一般均衡モデルを構築して、参入固定費用を低下させる参入緩和政策あるいはカルテルを抑制する反トラスト政策が、企業数・規模の変化を通じて、熟練・非熟練労働者間の賃金格差に与える影響を数値例でも明確にした。第二に、自国の参入緩和政策あるいは反トラスト政策が、中間財貿易を通じて、外国の賃金格差にも様々な方法で影響を与え得ることも数値例で示した。
本研究の第一の付加価値は、従来の研究では見落とされていた、競争政策(参入政策と反トラスト政策)と賃金格差の国際的な連結を試みたことである。過去の研究の多くが、技術変化あるいは国際貿易を賃金格差に結び付けてきた。それに対して、Kurokawa (2010) は、閉鎖経済の枠組み内で参入政策を賃金格差に結びつけた。こうした流れの中で、本研究は、閉鎖経済だけでなく開放経済の枠組みでも、参入・反トラスト両政策を賃金格差に結びつけた。
第二の付加価値は、従来の研究が企業規模の変化の源として技術の変化を強調してきたのに対して、本研究はその代替として参入及び反トラスト政策という二つの政策の変化を強調した点である。Kurokawa (2010) は、参入固定費用を低下させる参入緩和政策が企業数の増加及び企業規模の縮小を招く点に着目した。こうした流れの中で、本研究は、同一フレームワーク内で、参入緩和政策と反トラスト政策の双方が企業数の増加及び企業規模の縮小を招く点に着目した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、平成26年度は、数値例分析、論文の仮完成、国内外の学会等での研究成果発表、論文の推敲、論文の完成、英文校正、そして査読付き海外ジャーナルへの投稿と進む予定であった。
実際には、研究途中でモデルの問題点を発見し、平成26年度中に仮完成に至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、論文を仮完成させた後、国内外の学会等で研究成果の発表を行い、そこでいただいたフィードバックをもとに論文の推敲を繰り返す。そして、完成した段階で英文校正を行い、査読付き海外ジャーナルへ投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
当初の計画では、平成26年度前半に論文を仮完成させた後、国内外の学会等で研究成果の発表を行い、いただいたフィードバックをもとに論文を推敲・完成させ、英文校正をした上で査読付き海外ジャーナルへ投稿する予定であった。しかし、研究途中でモデルの問題点を発見し、現在もその修正に取り組んでおり、平成26年度中に仮完成に至らなかった。その結果、仮完成後に使用予定だった国内外旅費、英文校正費、投稿費等が未使用となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度始めに論文を仮完成させた後、平成26年度未使用額を、国内外旅費、英文校正費、投稿費等に使用する。
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