2013 Fiscal Year Research-status Report
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25780168
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Chiba Keizai University |
Principal Investigator |
太田 塁 千葉経済大学, 経済学部, 准教授 (00338229)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 価格競争 / 衰退市場 / 均衡 / 企業行動 / 経済成長 |
Research Abstract |
本研究の主題は衰退市場における企業行動の分析である。具体的な研究内容は、1)新製品と旧製品を同時に販売する企業の価格付けに関する理論的分析、2)比較優位による退出効果の理論的分析、3)マイクロデータを利用した衰退市場の実証分析、から構成される。 平成25年度は、主に研究1)に関する研究を行った。本研究に関しては、すでにOta and Fujiu (2012) によって初期段階の分析が行われており、当該年度は当論文を研究会で報告することで、様々な角度から検討することができた。また、この検討から新たな論文Fujiu and Ota (2014) に着手できたことも当該年度の成果である。 衰退市場を研究する意義は、その特徴・企業行動を知ることで今後の経済成長を促す適切な政策を示唆することにある。先進経済には、急速に衰退していく産業も多く、我が国にも数多くの衰退市場が形成されていくと考えられる。したがって、衰退市場の特徴を理解することは、今後の経済成長につながる政策をデザインするために喫緊の課題である。 本研究の独創的な点は、このような退出過程・衰退過程を市場における均衡現象として分析する点にある。つまり、衰退が一時的なショックとして起きるといった事象ではなく、技術進歩による新製品の登場や、新興国の台頭などによって引き起こされる長期的な衰退過程を考慮した分析である。当該年度に行った研究1)の特徴は、新製品の登場とそれに伴って起こる既存製品への需要の衰退を一つの経済モデルとして記述し、そのような環境の下で企業がどのような行動をとるか(均衡状態)について分析したことにある。特にFujiu and Ota (2014)では、新旧製品の違いを消費者の好みの違いのみで表現し、よりシンプルでかつ一般的なモデル設定の中で分析している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は前述の通り3つの内容から構成される。研究1)の目的は、新製品を販売する企業が従来の製品も販売しており、自身の行動が需要衰退をもたらす場合の価格変化を分析することである。平成25年度の成果により、複数のモデルの構築や分析結果を得ることができたため、おおむね順調に進展していると考えている。研究2)および3)は平成26年度より着手するものであり、現在までの達成度は高くない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、研究目的2)の達成と研究目的3)の大まかな達成をめざす。研究2)の企業が持つ技術に関する比較優位による退出効果は、Ota (2010)によって初期段階の分析が行われている。そこではOhyama and Jones (1995)を応用した動学モデルを構築し、最も優れた技術を保有している企業でも、パラメタ―によっては先に退出することを示した。当該年度は、この結果と既存研究(資本の絶対的大きさによる退出効果)の結果との関係を調べ、新しい視点として注目した比較優位による退出効果の本質の解明に迫る。具体的には、Ota (2010)のフレームワークで資本の絶対的大きさによる退出効果を分析できるか検討する。研究目的3)に関しては、推計モデルに必要だと思われる要因を整理・選択する。もしOta (2011)モデルが写真フィルム価格の変化をとらえるのに適切だと判断されれば、そのパラメタ―推計に取り掛かる。
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Research Products
(1 results)