2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25780168
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
太田 塁 横浜市立大学, 国際総合科学部, 准教授 (00338229)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 衰退市場 / 価格競争 / ダンピング / 市場の質 |
Outline of Annual Research Achievements |
1 新製品が続々と市場に投入されていく現代社会の中で、旧製品も新製品も製造・販売する会社はそれぞれの製品にどのような価格付けをするのだろうか。Fujiu and Ota (2016)では、新旧製品の違いを消費者の好みの違いのみで表現し、企業が旧製品を販売する理由が、シュタッケルベルグ流の先導者・追随者構造にあることを示した。これは本研究の独創的な点である、退出過程・衰退過程を市場における均衡現象として分析する視点に適っている。また、本研究は企業が価格競争において先導者になるか追随者になるかをどのように内生的に決めるかという一連の研究に対して、旧製品の存在という新しい視点を加えることができた。 2 発展途上国の急速な成長に裏打ちされたダンピング現象でも見られるように、先進経済には急速に衰退していく市場も多い。Yano, Dei and Ota (2016)は、独占的な輸出国市場から、比較優位のある製品(安価な製品)が、競争的な輸入国市場に大量に流入することから国内製品価格が上昇し、確実に輸入国の消費者余剰および国内総余剰を減少させることを示した。これは、反ダンピング制度導入の経済学的な正当性を、我々の知る限り、初めて指摘したものである。 3 衰退市場に関連して一般的に関心が高いと思われる問題は、東日本大震災後の東北地方の経済衰退・復興と、新興国との貿易増加による我が国の産業への影響である。ともに国内需要が減少する事例と考えられるからだ。そこで、福島第一原子力発電所事故による放射線汚染で、需要が衰退したと考えられる福島県産農作物と、度重なる品質の安全性の問題で需要が衰退した思われる中国産食品に焦点を当て、データを分析した。例えば2002年に起きた中国産冷凍ホウレンソウに残留農薬が混じっていた事件では、中国からの輸入量は事件後大幅に減少したものの、徐々に回復していくことが分かった。
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Research Products
(3 results)