2015 Fiscal Year Research-status Report
途上国の災害復興における社会規範とソーシャルビジネスの役割
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25780172
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Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
庄司 匡宏 成城大学, 経済学部, 准教授 (20555289)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 東日本大震災 / 社会的孤立 / 雇用 / 近隣効果 / バングラデシュ / 犯罪 / サイクロン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究プロジェクトでは、バングラデシュのサイクロン被災地および東日本大震災後の福島県いわき市で収集した独自の家計データを用いて、被災地の社会・経済的復興について分析をしてきた。バングラデシュのデータでは、二本の論文を執筆し、どちらも英文学術雑誌への投稿段階にある。「Religious Fractionalization and Crimes in Disaster Affected Communities」では複数の宗教グループが混在する被災コミュニティは単一宗教の被災コミュニティよりも治安が悪化しやすいことを示した。「Incentive of Risk Sharing and Trust Formation: Experimental and Survey Evidence from Bangladesh」では災害時の助け合いの経験が村人同士の信頼形成に効果的であることを示した。
一方いわき市のデータでも二本の実証論文を執筆した。「応急仮設住宅における社会的孤立―福島県の事例―(赤池孝行との共著)」では、仮設住宅避難者における社会的孤立問題に焦点を当て、社会的孤立に陥りがちな個人特性や孤立を回避する上で効果的な仮設住宅の構造を分析した。 一方、「Peer Effects in Employment Status: Evidence from Housing Lotteries for the Forced Evacuees in Fukushima(近藤絢子との共著)」では、仮設住宅内の近隣住民からの影響により、失業した原発避難者の再雇用が促進される効果を実証分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
いわき市の仮設住宅データを用いたことで、一般的には実証が困難とされている近隣効果を精緻に分析することができた。またこのデータを用いた二つの論文から、災害時におけるコミュニティの役割を明示的に示すことができた。これら両論文は既に学術雑誌へ投稿中である。
一方バングラデシュのデータを用いた両論文では、大規模災害が信頼や犯罪行為といった「コミュニティの結束の強さ」に及ぼす影響をそれぞれ明らかにすることができた。これらの論文も、既に英文学術雑誌へ投稿中である。
従って、両プロジェクトにおいて、最終目的であった学術雑誌への投稿を達成している。
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Strategy for Future Research Activity |
既に執筆論文は学術雑誌への投稿段階にあるが、それらを出版する上で更なる修正が必要となる。次年度は、国内外での学会報告を繰り返しながら、各論文の修正作業に専念する。
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Causes of Carryover |
当初計画していたバングラデシュでの調査が、治安の悪化に伴い実行不可能となったため、全体的に支出計画の変更が強いられた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究計画の下で執筆された論文の英文校正費や投稿費に用いる。
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Research Products
(11 results)