2014 Fiscal Year Research-status Report
環境責任行動の変化を引き起こすメカニズムの経済分析
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25780175
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
内田 俊博 中京大学, 経済学部, 准教授 (60463113)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 環境問題 / 環境経済学 / 実験経済学 / 経済実験 / アイデンティティ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、人々が何らかのきっかけで環境行動をとったとき、どのような条件下でそれが短期的・長期的に環境的に責任ある行動・倫理的行動につながるのか、また責任ある行動・倫理的行動をとるようになるプロセスはどのような要因により影響されるのか、主に経済実験とアンケート調査を用いて明らかにすることを目的としている。
平成26年度は経済実験の計画を進めるとともに、アンケート調査を実施した。フルタイムで働いている日本の成人男女1,500名ほどをサンプルとし、職場での環境行動は家庭での環境行動を引き起こす(正のスピルオーバーを与える)との仮説を検証した。特に、勤務先企業と従業員の価値観が一致しているとき、勤務先での環境行動や勤務先企業の環境経営が従業員のアイデンティティを示すシグナルとして働き、正のスピルオーバーを引き起こすとの仮説に重点を置いて検証した。職場における環境行動はほぼ全ての分析において統計的に有意で正となり、職場で環境行動をとることによるスピルオーバー効果は非常に強いことが分かった。また、勤務先企業が環境対策に熱心であると、それだけで家庭における行動へのスピルオーバーが引き起こされるケースが多いことも分かった。一方、勤務先企業と自分の価値観が一致することによってスピルオーバーが更に大きくなる、という仮説は限られた環境行動にしか成り立たず、強くは支持されなかった。
これらの結果は、『環境問題における非金銭的インセンティブの役割』というタイトルの平成27年3月に勁草書房から出版された本の中で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
経済実験をまだ実施していない。実験計画の質をより高めることに重点を置いたため、実験の実施までには至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は経済実験を実際に進める。研究計画全体については大きな変更はない。ただし、実験の詳細については、研究が進展して新たな知見が得られれば、この知見を活かして場合によっては修正して実施する。
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Causes of Carryover |
平成26年度に経済実験を実施する計画であったが、実験計画の精度を高めることに時間をかけた結果実施には至らず、実験参加者への謝金の支払い等が発生しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は経済実験を実施し、実験参加者への謝金に活用する。また海外での学会発表も積極的に行い、交通費等に活用する。
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Research Products
(1 results)