2016 Fiscal Year Research-status Report
高成長から景気減速への移行局面下インドにおける分配経路としての人口移動の経済分析
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25780177
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Research Institution | Seinan Gakuin University |
Principal Investigator |
加藤 眞理子 西南学院大学, 経済学部, 准教授 (30613228)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 移住 / ジェンダー / 経済成長 / インド / 労働機会 / 労働参加 / 階層流動性 / 教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
2000年代以降、経済成長を果たしたインドでは、成長にともない、経済的後進層や女性の社会的地位が向上すると期待されていた。実際、2010年頃より女性の教育水準は著しく上昇した。しかしながら、成長に見合うような雇用は十分に創出されなかったため、成長の便益が広く国内に共有されたかという点については議論が残る。インドの労働市場は社会構造上、社会的階層やジェンダーによって分断されているために、女性の教育水準の上昇は労働力という面においては直接的な効果はあまり大きくなかった。とくに中間層から上の所得階層は、結婚を通じた上方硬直的な階層を保持し続けるインセンティブを強くもつため、階層的マッチングを重視したarranged marriageがほとんどであり、上方への階層志向性がきわめて強い。さらに、インドの移住者のうち、結婚を理由とする女性の移住が約半数を占めており、都市部への移住を経験した家計では大きく所得が改善されていることから、経済的利益が婚姻を通じて特定の経済的階層に集中しやすい構造を有している。つまり、2000年代のインドでは、経済成長は著しかったものの、雇用創出力が低かったために、インドでは経済成長の便益は労働市場を通じてひろく分配されず、所与の階層的不平等から利益がえられる階層(中間層以上)に集中し、婚姻によって維持される社会的階層と移住機会を通じて階層的な利益が保たれ、保守性の高い文化的価値が経済的に担保されることで、社会階層の固定化と不平等な構造が強化された可能性がある。本研究では、家計データを用い、インドにおける経済成長が社会階層の流動性や、ジェンダーの持つ経済・社会的な役割にいかなる影響を与えたかという点につき、検討を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
体調の深刻な悪化を受け、研究遂行が不可能になっていたため。
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Strategy for Future Research Activity |
過年度に予定されていたデータ分析を行い、くわえて国内外の研究者との協力を深めることにより、研究の遅れをとりもどし、成果の発表をめざす。
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Causes of Carryover |
体調の悪化により研究に遅れが生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品費、ソフトウェア代等に充当
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