2017 Fiscal Year Annual Research Report
How migration affects economic distribution and inequality in India? - in transition from high to slowing growth
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25780177
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Research Institution | Seinan Gakuin University |
Principal Investigator |
加藤 眞理子 西南学院大学, 経済学部, 准教授 (30613228)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 移民 / 階層 / 差別 / 中間層 / 成長 / 格差 / 女性 |
Outline of Annual Research Achievements |
1965年当時に約20万人だったアメリカ在住のNRIの数は、都市部を中心に206万人を超え、2014年度では発給されたH-1Bビザの7割をインド人が占め、アメリカとイギリスがインド人の移住先上位国となっている(Migration Policy Institute:2015)。高学歴・高スキルの移民が多数(出自の多くは富裕層や上位中間層である)であるため、海外移民と国内移民の格差は自然に増大する。農村の富裕層の多くは海外に居住する不在地主であり、農村の農業労働を担うのは農村間移民となるが、そのような人々の社会的地位は低位である。 成長と格差は不可分の関係にある中、移民の属性は社会・経済階層的に規定されるため、よほどの上位階層に出自を持たない移民は、差別的に受容されるケースが多い。つまり、農村から移出する移住者の多くは国内の移住を目指し、そうした階層にとっては、移住は貧困緩和に一定の役割を果たしているが、その多くは低賃金労働に従事しているため、「移民」に対する差別的な階層受容に寄与していると考えられる。 一方で、社会的な後進性が高いともいえる女性であるが、女性の移住は2000年度、2010年度においても、いまだに結婚を理由、もしくは、結婚相手の就労にもとづく移住がほとんどであり、女性による主体的な移住はあまり観察されていない。女性の就労状況をみてみると、とくに経済的中間層といえる階層において、労働参加率が大きく減退していることも鑑みると、移住がさかんになることで、女性の社会的・経済的なコミットメントの面では抑制的な性格を持つといえるかもしれない。 つまり、ディアスポラと国内の経済成長が上にも下にも階層を固定する二重の圧力に転化され、社会における差別的な下層階層を新たに創出する可能性がある。
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Research Products
(1 results)