2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25780178
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
玉田 桂子 福岡大学, 経済学部, 教授 (80389337)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 生活保護 / 社会保障 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、1989年、1994年、1999年、2004年の『全国消費実態調査』匿名データを利用して変曲点の分析を行い、成果を「生活保護基準の決まり方についての検討-変曲点の観点から-」のタイトルで「福岡大学先端経済研究センター ワーキングペーパーシリーズ」で発表した。 平成26年度では、平成25年度の成果をもとに生活保護制度における日常生活の需要に対応する生活扶助の基準を変曲点の観点から検討するために個票データを用いた分析を行った。変曲点とは、所得階層と消費支出の関係性から導かれる点である。具体的には、ある所得以下になると急激な消費支出の減少が観察されるが、この消費支出が大幅に減少し始める点が変曲点となる。 本研究の意義は、生活扶助基準は受給者の生活水準に関わるだけでなく、住民税が非課税となる基準など他の施策にも関連することから、生活扶助基準の決まり方そのものが適切であるか否かを検討することで生活扶助基準の決定に関する議論に資する点である。中でも、現行の生活扶助基準の決定方式である水準均衡方式に至るきっかけとなった一方で、研究が進んでこなかった変曲点に焦点を当てている点が特徴である。 本研究の重要性は、変曲点に焦点を当てた上で、個票データを用いて世帯員数や世帯内年齢構成などをコントロールし、統計的な検定を行うことによってより精緻な分析を行った点である。分析の結果、変曲点が複数存在したり、存在しないケースがあったりすることが確認された。求められた変曲点から試算した生活扶助相当支出は、2004年で夫婦子一人(有業者あり)世帯で約10万円から約19万円、単身世帯についても5.9万円から7.8万円と異なっており、変曲点から生活扶助基準を決定する場合は慎重に検討するべきであることが示された。
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Research Products
(2 results)