2014 Fiscal Year Research-status Report
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25780185
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
北條 雅一 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (30362601)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 少人数学級 / 学力 / 習熟度別指導 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度に実施した研究の成果は以下のとおりである。研究計画では習熟度別授業の効果に焦点を当てることを計画していたが,当該年度中に,小学校における少人数学級の効果に関して社会的にも大きな議論が沸き起こったため,少人数学級の効果についても分析の対象とした。(1)小学校・中学校における学力形成の要因分析を実施した。全国学力・学習状況調査の全国データを使用して,学力形成の要因を分析した結果は以下のとおりである。小学6年生の国語では,学級規模の拡大により0.045~0.026パーセントポイントの正答率の低下がみられた。また,小学校6年生の算数では,学級規模の拡大が正答率を低下させる傾向はあるものの統計的に有意ではなかった。中学3年生では,国語・数学とも学級規模の拡大による正答率の低下は統計的に有意ではないことが確認された。こうした結果から,少人数学級の導入・推進による効果は,学年や教科によって異なることが明らかになった。なお,この研究結果は国立教育政策研究所紀要に掲載された。(2)上記とは別のデータを使用して,小学校・中学校段階における学力形成の要因分析を実施した。使用したデータは国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)である。この研究では,学級規模と学力の間の関係を詳細に検討している。その結果,学級規模と学力の関係は単純な線形関係ではないことが明らかとなった。具体的には,学級規模がおおよそ25名を上回る領域では,学級規模縮小による学力の向上効果は小さいが,学級規模が25名を下回ると,学級規模縮小の効果が大きく表れることが明らかとなった。この研究結果は,現在議論されている35人学級よりも,学級規模を大胆に縮小することによって,より大きな効果が期待されることを意味している。この研究成果はEconomics Letters誌に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目的に照らし合わせると,義務教育段階における学力形成の要因分析はおおむね順調に進展している。特に,学級規模の効果に関する分析は順調に進展しているといえる。また,少人数指導や習熟度別指導の効果についても分析は進行しており,当初の研究計画を達成できる見込みである。一方,学校統廃合の影響についてはやや遅れているが,参考文献の収集は進展しており,平成27年度中に当初の計画水準を達成することは可能であると評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
義務教育段階の学力形成について,より詳細な分析を推進する。具体的には,児童・生徒の家庭的背景に関する情報を活用して,学校や家庭におけるどのような要因が児童・生徒の学力を規定しているのかを明らかにしていく。学校統廃合に関しては,当初に想定していた研究が予定通りに進まない場合の対応に沿って,まずはヒアリング等を通じた現状の正確な把握を優先する。
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Causes of Carryover |
発生している次年度使用額については,平成27年4月中に支払いが完了する予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
発生している次年度使用額については,平成27年4月中に支払いが完了する予定であるので,既に使用は完了している。
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Remarks |
(1)は申請者が参加した研究プロジェクトの最終報告書である。
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