2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25780190
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
別所 俊一郎 慶應義塾大学, 経済学部, 准教授 (90436741)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 財政学 / 経済政策 / 地方財政 / 所得再分配 / 予防接種 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,日本の地方政府による所得再分配政策の決定要因とその帰結について研究する.日本の所得再分配政策の企画立案について中央政府の果たす役割は大きいが,その執行の多くは地方政府が担っている.また,地方政府は単独事業という形でさまざまな独自の事業を展開している.本研究では,既存研究では十分に扱われてこなかった市町村の政策の決定要因と帰結について,データを広範に収集し,計量経済学的手法を用いた研究を行う.本年度は,日本の市町村に関する長期時系列データの動学的観点からの解析を行った.この分析により,何らかの財政ショックに対して市町村がどのような政策手段でもって,どの程度の期間をかけて当該ショックを吸収しているのかを明らかにした.自然災害や経済危機など様々な外的経済ショックが生じる現代において,外的ショックに地域政府がどのように対応しているかを明らかにした事実解明的研究であり,諸外国の政策対応と比較することで我が国の特徴を明らかにすることができたという点で意義深い研究と評価されている.日本の市町村の政策対応の特徴は,租税や地方債・公共支出といった政策手段ではなく,公共投資量の変化によって,外的ショックのほとんどを吸収しようとしているところにある。また本年度は,インフルエンザ予防接種の助成の決定要因についてデータの整備を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では,日本の地方政府による所得再分配政策の決定要因とその帰結について個別の政策分野を取り上げて研究することとしており,インフルエンザ予防接種への助成の効果についての分析はほぼ終了している.政策の決定要因についてはデータ整備に予想以上に時間を要したためいまだ準備段階にある.
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Strategy for Future Research Activity |
予防接種への助成・医療費助成等の所得再分配政策の個別施策の状況の差について,各地方政府の財政状況・地方政府の首長の属性や議会の構成,地域の人口構成,上位政府の政策動向,周囲の同級地方政府の政策動向の影響などを考慮した分析を進める.
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Causes of Carryover |
平成27年度にはデータ入力委託を予定しており,この支払いに充てるため平成26年度の支出額を抑えたものである.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
データ入力委託及び旅費に使用する予定である
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Research Products
(5 results)