2016 Fiscal Year Annual Research Report
Study on Tax Shelter and Tax Administration
Project/Area Number |
25780196
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
森田 圭亮 神奈川大学, 経済学部, 准教授 (70467265)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 租税回避 / タックスコンプライアンス / タックスシェルター / タックスヘイブン |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度に取り組んだ研究実績の概要は以下のとおりである。まず、これまでの事例研究調査と理論分析のサーベイ調査をすり合わせ、earnings strippingの事例を想定したうえで、多国籍企業におけるグループ内資本移転とタックスヘイブンの関係性を明らかにすることに主眼を置いた分析を行った。多国籍企業による国際的租税回避に関する理論分析は、移転価格や低税率国への企業立地に関する分析は進んでいるが、グループ内の金銭貸借に着目したものはまだ少ない。また、グループ内の債券市場に着目した過去の研究では、実質的には債権者と債務者の立場が不明瞭になっていたり、債券取引規模が端点解を取ることを前提に議論が進められており、必ずしも現実を反映した分析が行われているとは言い難いモデル設定のもとで分析が進められてきた。そこで本研究では、これらの点を改善した上で、多国籍企業内の金融センターがどのようなときに現実のようなタックスヘイブンに立地するのか、あるいは現実のタックスヘイブンに近い条件を持つ国や地域がどのようなときに過度な低税率を設定するのかについて、再検証を試みた。 本研究成果はいくつかの課題を抱えている。例えば、議論を簡単にするために、多国籍企業の子会社数を限定したり、過小資本税制のような租税制度を外している。また、本研究に最も近い産業組織論の先行研究を参考に、子会社経営者の経営目標を利潤最大化ではなく事業規模最大化に求めている。こうした設定は、今後の分析で改善していく余地があると考えている。
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